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解説
初演は明治6(1873)年6月中村座。
実際にあった「白子屋事件」を脚色した浄瑠璃『恋娘昔八丈』通称「お駒才三」では白子屋お熊は城木屋お駒と名を変えて登場しますが、『梅雨小袖昔八丈』は幕末から明治にかけて人気を得た春錦亭柳桜の人情噺「白子屋政談」を基に黙阿弥が脚色したものです。
本来この作品は、四幕十一場の通し延言でしたが、初演以後は、新三が源七に殺される「閻魔堂橋」の場までの三幕の上演が通例となっています。
今回前進座では、「白子屋奥の間」、「佐賀町居酒屋」、「町奉行所」を含む四幕九場に補綴した通しを上演いたします。その「佐賀町居酒屋」は明治30(1897)年以来、106年ぶりの復活上演となります。
あらすじ
一幕目
第一場 新材木町白子屋見世先の場日本橋新材木町に繁昌していた大店、白子屋は、主人の病死で信用は、がた落ち、材木の仕入れもままならず、倒産寸前。後家のお常(辰三郎)は、店に出入りの車引き、忠義者の善八(矢之輔)の仲介 で、大博馬町の豪商桑名屋の三番番頭、又四郎を五百両の持参金つきで、一人娘のお熊(國太郎)の婿に迎えようとしている。
だが、お熊は幼馴染の手代、忠七(菊之丞)と相愛の仲。善八の姪にあたる下女のお菊(杏佳)は、 叔父ともども、なんとか婿取りを得心させようとお熊を口説く。忠七も、いちおう親孝行をすすめはするが……。
たまたま得意先まわりでやってきた、通い髪結の新三(梅雀)は、上総無宿の入墨者。盗み聞いて事情を知ると、忠七の髪を撫で付けながら、駆け落ちしろと、言葉たくみに唆す。
第二場 永代橋川端の場梅雨どきの夜。川向こうに佐賀町の灯。早駕籠が橋を渡って消える。乗っているのはかどわかされる途中のお熊。目指すは深川富吉町の新三の裏長屋。
白張りの番傘を相合傘にして、忠七と新三が来る。とつぜん態度を変えた新三は、悪口の限りをつくして忠七を嬲り、下駄で打ち据え、逃げ去る。
新三の住居といっても皆目知らず、思いあまって川に身投げしようとする忠七を助けたのは、 の老侠客、弥太五郎源七(圭史)。
二幕目
第一場 富吉町新三内の場お熊は弄ばれたすえ、昨夜から縛られたまま押入れに。
時鳥が喘く。朝湯帰りの新三につづいて、売り声とともに盤台をかついだ魚売り新吉(靖之介)が来る。景気よく初鰹を丸ごと一本買った新三。白子屋から巻きあげるつもりの娘の身代金をあて込んでのことだ。新吉は鮮かな包丁使いで鰹をさばく。
ところへ、忠七の話から見当をつけ、善八に案内されて、お熊を連れ戻しにきた源七。はじめは相手を親分として立て、下手に出ていた新三だが、示談の金額がたった十両と知れると、金包みを叩きつける。さんざんの悪態で辱しめられた源七は、白子屋の依頼で来ている手前もあり、青二才と喧嘩することもならず、恥を堪えて帰ってゆく。新三の子分、下剃勝奴(宏幸)が、「おととい来やがれ」と塩を撒く。
第二場 同長屋家主内の場店子に破落戸、無頼の者をかかえて取り仕切っている家主、長兵衛(惠一)は、誰もが一目も二目もおく海千山千。女房のお角(新之輔)は大の欲張りという夫婦で、善八からお熊の一件を頼まれると、新三との駈け合いは「早いがいい」と引き受ける。出る処へ出せば三文もかけないで解決できようが、表沙汰になって娘に疵がつく。内々に済ますには「三十両は必要だ」という長兵衛の提案に、善八は一も二もなく乗る。
第三場 元の新三内の場勝奴が造った刺身を肴に酒を呑んでいる新三。苦手の家主がくる。へつらって初鰹の半身を進呈して、あとはとぼける。白子屋から出る金は三十両と聞くと、「百両よこせ」と強がるが……。前科者の弱味を逆手に取られ、長兵衛が「悪事を言い立てて訴えるぞ」と畳みかけると、新三にはもう術がない。
戸棚から出されたお熊は、縄を解かれ、家主が手配しておいた駕籠で帰っていった。
長兵衛は、なおも手をゆるめず、三十両の半分は骨折賃に俺がもらった、と言い、いやなら縄をかけるだけ、と攻め立てる。そこへやって来たお角が言うので、たまった店賃の二両まで巻きあげられる。と、同じ長屋の住人、権兵衛(辰三郎)が駆け込んで来た。大家さんの家に泥棒がはいり、箪笥の着物をそっくり持っていった、と……。長兵衛は、目をまわしたお角を残したまま、鰹の半身を提げて、走っていった。
第四場 深川閻魔堂橋の場夜。雨が降ったり止んだり。そば屋仁八(源次郎)と冗談まじりの挨拶をかわして按摩が通りすぎると、入れちがいに弥太五郎源七がきて、博奕がひらかれている伯楽の家を仁八に訊ねる。教えられた方角からくる人影は、賭場帰りの新三。連れだってきた勝奴を使いにやり、一人になったところへ、「てめえの命がもらいてえ」と、源七がもの隠からあらわれた。
「駈け出しの小僧っ子に恥かかされた意趣がえし」といえば、相手は、「待っていたところだ」。たがいに口を極めた悪口雑言を投げあって、新三は匕首、源七は脇差をかまえ、落ち目の老侠客と若いさかりの小悪党の果しあい。恨みの刃に斬られて止めをさされたのは、新三だった。
第五場 佐賀町居酒屋の場「閻魔堂橋で殺しがあったらしい」居酒屋の亭主、三右衛門(矢之輔)と女房のさが(靖之介)が気味悪がっていると、店の前を通りかかる源七の後姿。久しい馴染の客だからと、呼びとめる。「またそのうち」というのを無理に誘って……。酌をしながら見るともなく眼をやった源七の胸に血のあと。うるさく吠える犬を斬った、と一言うが、顔色が青い。もう若くはないのだから、斬った張ったの博奕渡世から足を洗うようにと、夫婦は諭す。
「遅まきながらそうしよう」と言ったあと、現場に簑を忘れてきたことに気づき、源七は、心の中で「南無三宝」と……。
大詰 佐賀町河岸の場大詰は例会会場でのお楽しみ。
他サイトによる紹介
髪結新三 | 中村梅雀 | |
弥太五郎源七 | 嵐圭史 | |
家主長兵衛 | 津田恵一 | |
白子屋後家お常 合長屋権兵衛 |
山崎辰三郎 | |
車力善八 居酒屋亭主三右衛門 |
藤川矢之輔 | |
家主女房お角 捕手頭 |
姉川新之輔 | |
白子屋手代忠七 | 瀬川菊之丞 | |
白子屋娘お熊 | 河原崎國太郎 | |
下剃勝奴 | 中嶋宏幸 | |
白子屋下女お菊 | 山崎杏佳 | |
加賀屋藤兵衛 そば屋仁八 |
小佐川源次郎 | |
居酒屋女房さが 魚売り新吉 |
中村靖之介 | |
大工一 駕舁(かごかき)一 捕手二 |
栗沢 学 | |
大工二 駕籠屋一 捕手三 |
石田 聡 | |
白子屋若い者千助 捕手一 |
寺田昌樹 | |
白子屋若い者萬蔵 駕籠屋二 捕手四 |
松永 啓 | |
加賀屋若い者一 捕手五 |
中馬隆宏 | |
加賀屋若い者二 捕手八 |
辻 博之 | |
丁稚長松 駕舁(かごかき)二 |
亀井栄克 |
作 | 河竹黙阿弥 |
指導 | 中村又五郎 |
台本協力 | 小池章太郎 |
演出進行 | 鈴木龍男 |
装置 | 高木康夫 |
照明 | 塚原 清 |
音楽 | 杵屋佐之忠 |
衣裳 | 伊藤静夫 |
鳴門市文化会館 1月26日(水) 夜6:30〜
上演時間 約2時間45分(15分の休憩を含む)
※約400台の無料駐車場あり |
郷土文化会館 1月27日(木) 夜6:30〜 1月28日(金) 昼1:30〜 1月29日(土) 昼1:30〜 |
阿南市市民会館 1月30日(日) 昼3:30〜 |
E-mailでのお問い合わせは 鳴門市民劇場ホームページ nrt-geki@mc.pikara.ne.jp まで。