髪結新三─梅雨小袖昔八丈−

かみゆいしんざ つゆこそでむかしはちじょう

前進座 公演

2005年1月26日(水)鳴門市民劇場例会

解説 あらすじ 他サイトによる紹介
配役 スタッフ 上演予定

髪結新三舞台紹介写真

2005年前進座新春特別公演ニュースNO.1(04年9月)
公演ニュース
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中村梅雀さんから鳴門市民劇場へのメッセージ
中村梅雀さんメッセージ
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解説

初演は明治6(1873)年6月中村座。

実際にあった「白子屋事件」を脚色した浄瑠璃『恋娘昔八丈』通称「お駒才三」では白子屋お熊は城木屋お駒と名を変えて登場しますが、『梅雨小袖昔八丈』は幕末から明治にかけて人気を得た春錦亭柳桜の人情噺「白子屋政談」を基に黙阿弥が脚色したものです。

本来この作品は、四幕十一場の通し延言でしたが、初演以後は、新三が源七に殺される「閻魔堂橋」の場までの三幕の上演が通例となっています。

今回前進座では、「白子屋奥の間」、「佐賀町居酒屋」、「町奉行所」を含む四幕九場に補綴した通しを上演いたします。その「佐賀町居酒屋」は明治30(1897)年以来、106年ぶりの復活上演となります。



あらすじ

一幕目
第一場 新材木町白子屋見世先の場

日本橋新材木町に繁昌していた大店、白子屋は、主人の病死で信用は、がた落ち、材木の仕入れもままならず、倒産寸前。後家のお常(辰三郎)は、店に出入りの車引き、忠義者の善八(矢之輔)の仲介 で、大博馬町の豪商桑名屋の三番番頭、又四郎を五百両の持参金つきで、一人娘のお熊(國太郎)の婿に迎えようとしている。

だが、お熊は幼馴染の手代、忠七(菊之丞)と相愛の仲。善八の姪にあたる下女のお菊(杏佳)は、 叔父ともども、なんとか婿取りを得心させようとお熊を口説く。忠七も、いちおう親孝行をすすめはするが……。

たまたま得意先まわりでやってきた、通い髪結の新三(梅雀)は、上総無宿の入墨者。盗み聞いて事情を知ると、忠七の髪を撫で付けながら、駆け落ちしろと、言葉たくみに唆す。

第二場 永代橋川端の場

梅雨どきの夜。川向こうに佐賀町の灯。早駕籠が橋を渡って消える。乗っているのはかどわかされる途中のお熊。目指すは深川富吉町の新三の裏長屋。

白張りの番傘を相合傘にして、忠七と新三が来る。とつぜん態度を変えた新三は、悪口の限りをつくして忠七を嬲り、下駄で打ち据え、逃げ去る。

新三の住居といっても皆目知らず、思いあまって川に身投げしようとする忠七を助けたのは、 の老侠客、弥太五郎源七(圭史)。

二幕目

第一場 富吉町新三内の場

お熊は弄ばれたすえ、昨夜から縛られたまま押入れに。

時鳥が喘く。朝湯帰りの新三につづいて、売り声とともに盤台をかついだ魚売り新吉(靖之介)が来る。景気よく初鰹を丸ごと一本買った新三。白子屋から巻きあげるつもりの娘の身代金をあて込んでのことだ。新吉は鮮かな包丁使いで鰹をさばく。

ところへ、忠七の話から見当をつけ、善八に案内されて、お熊を連れ戻しにきた源七。はじめは相手を親分として立て、下手に出ていた新三だが、示談の金額がたった十両と知れると、金包みを叩きつける。さんざんの悪態で辱しめられた源七は、白子屋の依頼で来ている手前もあり、青二才と喧嘩することもならず、恥を堪えて帰ってゆく。新三の子分、下剃勝奴(宏幸)が、「おととい来やがれ」と塩を撒く。

第二場 同長屋家主内の場

店子に破落戸、無頼の者をかかえて取り仕切っている家主、長兵衛(惠一)は、誰もが一目も二目もおく海千山千。女房のお角(新之輔)は大の欲張りという夫婦で、善八からお熊の一件を頼まれると、新三との駈け合いは「早いがいい」と引き受ける。出る処へ出せば三文もかけないで解決できようが、表沙汰になって娘に疵がつく。内々に済ますには「三十両は必要だ」という長兵衛の提案に、善八は一も二もなく乗る。

第三場 元の新三内の場

勝奴が造った刺身を肴に酒を呑んでいる新三。苦手の家主がくる。へつらって初鰹の半身を進呈して、あとはとぼける。白子屋から出る金は三十両と聞くと、「百両よこせ」と強がるが……。前科者の弱味を逆手に取られ、長兵衛が「悪事を言い立てて訴えるぞ」と畳みかけると、新三にはもう術がない。

戸棚から出されたお熊は、縄を解かれ、家主が手配しておいた駕籠で帰っていった。

長兵衛は、なおも手をゆるめず、三十両の半分は骨折賃に俺がもらった、と言い、いやなら縄をかけるだけ、と攻め立てる。そこへやって来たお角が言うので、たまった店賃の二両まで巻きあげられる。と、同じ長屋の住人、権兵衛(辰三郎)が駆け込んで来た。大家さんの家に泥棒がはいり、箪笥の着物をそっくり持っていった、と……。長兵衛は、目をまわしたお角を残したまま、鰹の半身を提げて、走っていった。

第四場 深川閻魔堂橋の場

夜。雨が降ったり止んだり。そば屋仁八(源次郎)と冗談まじりの挨拶をかわして按摩が通りすぎると、入れちがいに弥太五郎源七がきて、博奕がひらかれている伯楽の家を仁八に訊ねる。教えられた方角からくる人影は、賭場帰りの新三。連れだってきた勝奴を使いにやり、一人になったところへ、「てめえの命がもらいてえ」と、源七がもの隠からあらわれた。

「駈け出しの小僧っ子に恥かかされた意趣がえし」といえば、相手は、「待っていたところだ」。たがいに口を極めた悪口雑言を投げあって、新三は匕首、源七は脇差をかまえ、落ち目の老侠客と若いさかりの小悪党の果しあい。恨みの刃に斬られて止めをさされたのは、新三だった。

第五場 佐賀町居酒屋の場

「閻魔堂橋で殺しがあったらしい」居酒屋の亭主、三右衛門(矢之輔)と女房のさが(靖之介)が気味悪がっていると、店の前を通りかかる源七の後姿。久しい馴染の客だからと、呼びとめる。「またそのうち」というのを無理に誘って……。酌をしながら見るともなく眼をやった源七の胸に血のあと。うるさく吠える犬を斬った、と一言うが、顔色が青い。もう若くはないのだから、斬った張ったの博奕渡世から足を洗うようにと、夫婦は諭す。

「遅まきながらそうしよう」と言ったあと、現場に簑を忘れてきたことに気づき、源七は、心の中で「南無三宝」と……。

大詰 佐賀町河岸の場

大詰は例会会場でのお楽しみ。



他サイトによる紹介

前進座の『髪結新三』紹介ページ

前進座の『髪結新三』稽古場だより

梅雨小袖昔八丈〜髪結新三〜

梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)

演劇批評 67


配役

中村梅雀 髪結新三 中村梅雀
嵐圭史 弥太五郎源七 嵐圭史
津田恵一 家主長兵衛 津田恵一
山崎辰三郎 白子屋後家お常
合長屋権兵衛
山崎辰三郎
藤川矢之輔 車力善八
居酒屋亭主三右衛門
藤川矢之輔
姉川新之輔 家主女房お角
捕手頭
姉川新之輔
瀬川菊之丞 白子屋手代忠七 瀬川菊之丞
河原崎國太郎 白子屋娘お熊 河原崎國太郎
中嶋宏幸 下剃勝奴 中嶋宏幸
山崎杏佳 白子屋下女お菊 山崎杏佳
小佐川源次郎 加賀屋藤兵衛
そば屋仁八
小佐川源次郎
中村靖之介 居酒屋女房さが
魚売り新吉
中村靖之介
栗沢 学 大工一
駕舁(かごかき)一
捕手二
栗沢 学
石田 聡 大工二
駕籠屋一
捕手三
石田 聡
寺田昌樹 白子屋若い者千助
捕手一
寺田昌樹
松永 啓 白子屋若い者萬蔵
駕籠屋二
捕手四
松永 啓
中馬隆宏 加賀屋若い者一
捕手五
中馬隆宏
辻 博之 加賀屋若い者二
捕手八
辻 博之
亀井栄克 丁稚長松
駕舁(かごかき)二
亀井栄克

スタッフ

河竹黙阿弥
指導 中村又五郎
台本協力 小池章太郎
演出進行 鈴木龍男
装置 高木康夫
照明 塚原 清
音楽 杵屋佐之忠
衣裳 伊藤静夫

上演予定

 鳴門市文化会館

 1月26日(水) 夜6:30〜

 上演時間 約2時間45分(15分の休憩を含む)

 ※約400台の無料駐車場あり    

 郷土文化会館

 1月27日(木) 夜6:30〜

 1月28日(金) 昼1:30〜

 1月29日(土) 昼1:30〜

 阿南市市民会館

 1月30日(日) 昼3:30〜


E-mailでのお問い合わせは        鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。