作者の言葉 | 物語 | |
配役 | スタッフ | 上演予定 |
観客のみなさまへ
小説『赤い月』の構想は、昭和21年10月末、引き揚げ船を降りた8歳の私が、祖国日本の土を踏みしめた時に生まれはじめていたといっても過言ではない。満州体験は、成長するにつれ私の精神の核となり、表現されることを求めて、日一日と私を内側から突き上げ続けていた。私が、人生の後半を迎えてから小説を書きはじめた理由はそこにある。私は『赤い月』を書きたいがために作家になったのだ。『赤い月』は映画、テレビドラマ、ラジオドラマと様々なジャンルで再創造されていくが、文学座で舞台化されるにあたっては、なんとしても自分の手で戯曲化したいと思った。もう一つの『赤い月』を書き下ろしてみたい。
青春の頃から私は文学座を愛してきた。戯曲『赤い月』を携えて、私が生まれた年に初公演をしたという文学座の長く輝かしい歴史に参加できることを心から嬉しく思っている。主演は平淑恵、演出は鵜山仁、みなさまのご期待にこたえたいと思う。 なかにし礼
なかにし礼
文学座通信 2005.6 Vol550 より
○なかにし礼
1938年、中国・牡丹江市生まれ。
立教大学文学部仏文科卒。
1964年『知りたくないの』のヒットを機に作詩家となる。ヒットメーカーとして活躍を続け『今日でお別れ』『石狩挽歌』『時には娼婦のように』『北酒場』など数々の作品を割る。日本レコード大賞、ゴールデンアロー賞など受賞歴多数。
その後作家活動を開始、98年に『兄弟』を発表。次作の『長崎ぶらぶら節』で2000年に第122回直木賞を受賞。満洲からの引き揚げ体験を描いた『赤い月』(映画化・テレビ・ラジオドラマ化)はロングセラーとなっている。本年も新たに『黄昏に歌え』を朝日新聞社から刊行。一方、舞台作品の台本・演出も手がけ、歌舞伎・舞踏・オペラを融合した「世界劇」という新しい上演形式は高い評価を受けている。公演ちらし より
物語
生きているのか、生きていないのか…
ただそのことだけを確かめたいがために、
人の命をまさぐり求める
10年前、森田波子は夫・勇太郎と共に満州に渡り、以前の恋人でもあった関東軍参謀・大杉の庇護の下、満州有数の造り酒屋として財を成す。しかしその栄華は儚く、ソビエト軍の満州侵攻を機に満洲の広大な大地は地獄の荒野と化す。関東軍秘密諜報機関員・氷室の援助を受け、波子は夫と生き別れたまま2人の子供を抱え避難列車に乗り込むのであった。波澗万丈の人生を強靭な意志で生き抜いていく波子と、それを取り巻く三人の男たち。それぞれの愛憎が入り乱れ物語はやがてクライマックスを迎える…。
直木賞作家なかにし礼が実母をモデルに書いた白伝的小説「赤い月」は50万部を越えるベストセラーとなり、映画化、テレビ・ラジオドラマ化もされ話題となりました。今回初めて舞台化するにあたり、原作者自らの書き下ろしにより構想を練り直した全く新しい作品『戯曲赤い月』として生まれ変わります。主人公・波子を演じる平淑恵の、この作品に賭ける秘めた熱い思いが重なり「赤い月」は静かに煌めくでしょう。
公演ちらしより
池田(森田家使用人) 来々軒主人 |
塾 一久 | |
森田勇太郎 公平(現代) |
石田圭祐 | |
牧田(氷室上司) イヴァノフ ほか |
石川 武 | |
大杉寛治 ほか | 大滝 寛 | |
塚本(協和物産社員) 王 ほか |
今村俊一 | |
鄒 琳祥(シュ スウ) 軍人 ほか |
鈴木弘秋 | |
森田一男 軍人 ほか |
石橋徹郎 | |
村中(森田家使用人) 軍人 ほか |
川辺邦弘 | |
氷室啓介 | 長谷川博己 | |
森田公平 | 川口 潤 劇団ひまわり 交互出演 |
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森田公平 | 塩川真人 劇団ひまわり 交互出演 |
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八重 ほか | 南 一恵 | |
森田波子 美咲(現代) |
平 淑恵 | |
若い母 来々軒夫人 |
立石まゆみ | |
つね(森田家女中) ほか | 草野万葉 | |
よし子(森田家女中) ほか | 上田桃子 | |
森田美咲 | 尾崎 愛 | |
妙子 ほか | 松垣陽子 |
原作・脚本 | なかにし礼 |
演出 | 鵜山 仁 |
装置 | 倉本政典 |
照明 | 金 英秀 |
衣裳 | 宮本宣子 |
音楽 | 甲斐正人 |
音響効果 | 望月 勲 |
舞台監督 | 黒木 仁 |
演出補 | 今村由香 |
制作 | 矢部修治 川上裕子 |
票券 | 松田みず穂 |
イラスト | 鶴田一郎 |
鳴門市文化会館 9月22日(木) 夜6:30〜
上演時間 約3時間00分(休憩15分を含む)
※約400台の無料駐車場あり |
徳島市文化センター 9月16日(金) 夜6:30〜 9月17日(土) 昼1:30〜 9月18日(日) 昼1:30〜 |
阿南市市民会館 9月21日(水) 夜6:30〜 |
E-mailでのお問い合わせは 鳴門市民劇場ホームページ nrt-geki@mc.pikara.ne.jp まで。