竜馬の妻とその夫と愛人

東京ヴォードヴィルショー  公演

2005年11月11日(金)鳴門市民劇場例会


登場人物覚書     作者の言葉
配役 スタッフ 上演予定

※ 徳島と阿南の上演日時が会員証の日時から変更されています。お間違いなく!!


「竜馬の妻とその夫と愛人」ちらし

観劇のまへに 〜登場人物覚書〜

場割 第1幕 明治十三年、夏の午後。横須賀観念寺裏長屋。西村松兵衛の家。
  第2幕 同日夕刻。
     維新から一息ついたこの年、今や政府の高官や軍の幹部に出世した
     坂本龍馬のかつての同志たちは、彼の十三回忌を開こうとしていた……
坂本龍馬 さかもとりょうま 1835〜1867
御存じ、近代日本の黎明期を駆け抜けた快男児。土佐の裕福な郷士の家に生まれながら、脱藩。常識に囚われないスケールの大きな発想の持ち主で、貿易会社の先駆的存在・海援隊を詰成し商才を発揮する。また、薩長連合の成立や大政奉還の推進など、維新の大きな原動力でもあった。京都・近江居で暗殺される。この舞台には登蜴しない。
おりょう 1840〜1906
湯殿から裸で飛び出し、龍馬を寺田屋急襲の難から救った女傑として知られる。勤王家の町医者だった父の絡みで、その死後一家の面倒を龍馬がみており、その後恋愛へと発展。龍馬以外の男にはとても手に負えぬ勝ち気で酒豪、型破りな女と伝えられる。その破天荒さが災いし龍馬の死後は取リ巻き連から疎まれ、晩年は酒浸りに。貧しさの中脳卒中で死亡。
菅野覚兵衛 かんのかくべえ 1842〜1893
土佐和食村の庄層の三男として生まれる。土佐勤王党に参加後脱藩。龍馬の勧めから勝海舟の門人を経て、亀山社中に入った。縁あって、おりょうの末の妹・おきみを娶る。維新後はアメリカ留学を果たし、海軍少佐にまで出世した。
西村松兵衛 にしむらまつべえ 18XX〜19XX
もとは京都の大きな呉服間居の若旦那だったが、家が零落したため後の生業はテキ屋。おりょうとはまだ稼業が順胴な頃、京阪の往復の度に寺田屋を定宿にしていたために出会った。一説には龍馬と同時期におリようを見初め、恋の鞘当てに一度は負けたとも伝えられる。おりょうの没後、横須賀信楽寺に彼女の石碑を建立した。
虎蔵 とらぞう ?〜?
横須賀のテキ屋の元締め。南北ふたつに分かれていたテキ屋の組をひとつにまとめた実力の持ち主だが……。
今作中唯一の架空の人物。
劇中の人物相関図
公演パンフレットより


三谷幸喜

この物語は、ほとんどが実話です。

坂本龍馬の妻おりょうは、龍馬の死後、西村松兵衛という大道商人と再婚しました。彼は、もともとは京都の呉服屋の息子でしたが、家が没落してからは、横須賀で子供相手に駄菓子を売っていました。

二人は、横須賀観念寺の裏長屋に住んでいました。相当貧乏な暮らし だったようです。

おリようは晩年、酒場で飲んだくれては、「自分は坂本龍馬の妻よ」と叫んでいたそうです。

彼女が六十六歳で死んだ時、横須實信楽寺に石碑が建ちました。そこには「坂本龍馬之妻龍子之墓」の文字が刻まれ、それを彫らせたのは、夫の松兵衛だったそうです。

という話を読んで、おりょうと松兵衛の話がどうしても書きたくなりました。

坂本龍馬の奥さんだった人を嫁に貰う松兵衛の気持ちって?そして龍馬の次に、無名の人を夫に選んだおリようの気持ちって?しかも一説では、再婚したのは龍馬が死んでから間もない頃らしい。アツアツで有名な龍馬とおりょう(日本で最初に新婚旅行をしたのはこの二人)なのに、なんでそんなに早く再婚を?そして、新しい旦那がいるのに、酔う度に「私は龍馬の妻」と叫んでいた晩年のおりょうの気持ちは?さらに、自分の奥さんの碑に、「坂本龍馬の妻」と彫らせた松兵衛って一体……。考えれば考えるほど、謎は深まる一方です。

何かある。これはきっと裏に何かある。

こうして『竜馬の妻とその夫と愛人』の構想は出来上がりました。

出来上がった作品は、普段僕が書いているものとは、かなリ毛色の違うものになりました。

例えば、前回僕が東京ヴォードヴィルショーに書き下ろした『アパッチ砦の攻防』は、大勢の人物が人リ乱れるハイテンションなコメディ。それに対して今回は、登場人物も少なく、プロットも単純。人に語って聞かせるのに、これほど楽な話はないはず。笑わせるためだけに仕掛けたネタも「付け眉」くらいで、かなり少なめです。

つまり今回は、登場人物の背負う人生の重みと、彼らの生活と会話、そして、それを演じる俳優さんの魅力だけで、二時間弱を観せ切ってしまうタイプの作品なのです(そしてもちろんコメディです)。

冒険といえば冒険ですが、おリようと松兵衛、そしておリようを陰でひたすら支えて来た海援隊出身の菅野覚兵衛(彼も実在の人物)、彼らのドラマを描くには、この手法が一番だと思ったのです。ちなみにもう一人の登場人物、彼だけは架空の存在で、この芝居の唯一の仕掛けの部分を担っていて、「付け眉」も彼がらみ。お楽しみを。

冒険を人様の劇団の公演でやってしまっていいものだろうか。そんな疑問を抱いた時期もあリましたが、佐藤B作さんは、大きな懐でそれを受け止めてくれました。感謝します。ただ、台本の完成が遅れたせいで、文句を言う暇がなかったのかも知れませんが。

公演パンフレット より


配役

佐藤B作 菅野覚兵衛 佐藤B作
佐渡 稔 虎蔵 佐渡 稔
あめくみちこ おりょう あめくみちこ
平田 満 西村松兵衛 平田 満 (客演)

スタッフ

三谷幸喜
演出 山田和也
舞台美術 石井強司
照明 宮野和夫
音響 石神 保
衣裳 菊田光次郎(東京衣裳)
かつら 細野かつら
所作指導 高瀬道場
演出補 添田忠伸
舞台監督 岡 喜洋
宣伝写真 野口 博
宣伝美術 鳥井和昌
制作 小林克江
石井琴子
制作協力 コードリー
オフィス ヴォードヴィル
制作 (有)東京ヴォードヴィルショー

上演予定

※ 徳島と阿南の上演日時が会員証の日時から変更されています。お間違いなく!!

 鳴門市文化会館

 11月11日(金) 夜6:30〜

 上演時間 2時間00分(休憩15分を含む)

 ※約400台の無料駐車場あり    

 徳島市文化センター

11月 8日(火) 昼1:30〜

11月 8日(火) 夜6:30〜

11月 9日(水) 昼1:00〜

 阿南市市民会館

11月10日(木) 夜6:30〜


E-mailでのお問い合わせは        鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。