あらすじ | 場割 | キャスト | スタッフ | 上演予定 |
あらすじ
転換期の荒波はここ徳島藩にも音立てて打ちよせていた。
淡路島の貧しい農家に生まれ、健気に、たくましく生きるお登勢。彼女が奉公する加納家の当主、市左衛門は、佐幕か尊皇かで揺れる藩内の相克に心を砕く。志津は、時代を見つめ、新しい女の生き方を模索する、奔放で気まぐれな加納家の娘。お登勢は志津の美貌が自慢で、二人はまるで正反対の性格なのに、何故か理解し合い、時に激しく反発した。
市左衛門と妻のはまにとって、何事につけ気にかかるのは、二人の将来だった。お登勢が思いつづける初恋の人、津田貢は藩の尊皇派。その貢を志津が……。そして志津の兄の陸太郎は佐幕派で、貢らとは激しく対立、しかもお登勢への思い立ち難く……。それらが入り組んで、ドラマは意表をつく展開を……。
場割
《第一幕》
元治元年秋──(1864年)。淡路島洲本。徳島藩士洲本吟味役、加納市左衛門の居宅。
この日、加納家では、娘、志津の見合い相手の若い藩士、多村慎吾と、この家の主と同役で、仲立ちをつとめる石毛弥一郎らを夕餉の宴に招いていた。
新参の女中、お登勢は大忙し。頑固だが洒脱な市左衛門と、婿養子の夫を見くだす家柄大事の妻、はまのやりとりに、藩内の相剋が見えてくる。藩主蜂須賀侯の直参の市左衛門らは、白足袋を履く佐幕派。いっぽう藩の筆頭家老として代々洲本城の城代を勤めてきた稲田氏の家来は、陪臣として差別され、その印に浅葱足袋を履く、こちらは尊王派。
志津の兄、睦太郎が、徳島から帰ってくる。かれは佐幕の急先鋒。志津は見合いの相手より、睦太郎が“不倶歎天の敵”とする倒幕の急進派、津田貢に惹かれているらしく、お登勢は、そんな志津に仕えて、密会の手引きもしようとするが……。
元治2年の春──(1865年)。吉野川の中州、舞中島。
上洛し、池田屋騒動で新撰組によって顔に無惨な刀傷を負った貢は、密かに郷里に戻っていた。お登勢にとって貢は、片思いとはいえ初恋の人……。睦太郎らが貢たちの殺害を企んでいることを知ると、矢も楯もたまらず駆けつける……。
貢と違ったお登勢は、志津の心を知りながら、思わず、貢の身を案じてお百度参りをしたことを言ってしまう。
元号改まって慶応元年夏──(1865年)。加納家の客座敷。
石毛が、志津の結婚式の日取りの相談にくる。志津は、とつぜん、先日の見合いは破談にして、津田貢に嫁ぐ、と言い、さらに幕府はやがて倒れると……。
浅葱者に嫁ぐなど断じて許さんと、逆上して、床の間の大刀をとる市左衛門。その腰にしがみつき、志津を庇うお登勢……。腰を抜かす下僕の儀平……。
《第二幕》
慶応2年4月──(1866年)。稲田家家臣、津田頼母の屋敷。
貢と志津の結婚式。市左衛門、はま、貢の父の頼母、その妻りくが居並ぶ。稲田家重臣で媒酌人の三田昂馬がきて上座へ。市左衛門のほかは浅葱足袋。と、酒気を帯びた臼足袋の若侍が三人、玄関にきて、祝儀だ、と式台に犬の死骸を投げ出す。だが、頼母と昂馬の悠揚たる応対に退散。
その夜、貢は「これから京へのぼる」、夫婦になるのは世の中を変えてからだ、と志津に言って去る。
慶応3年の暮れ──(1867年)。。加納家の客座敷。
だしぬけに睦太郎が、お登勢に結婚を迫る。お登勢は「もう娘やない」といい、相手を聞かれても、激しく首を振るばかり……。
津田頼母がきて、市左衛門とはまに、志津が貢を離縁し、尊王派の陰の立役者で、岩倉具視とも親しい、公卿侍の佐伯織部と暮らしている、と告げる。
明治2年10月──(1869年)。東京・赤坂の佐伯邸。
浅葱足袋の貢は、淡路の分藩独立の、白足袋の市左衛門は、それに反対する陳情にくる。お登勢もいて……。
明治3年5月13日──(1870年)。津田家。
睦太郎ら白足袋の若手藩士が、無抵抗の稲田家主従を襲う。駆けつけて、貢を逃したお登勢は……。
〈丸橋恒夫〉2005年公演パンフレットより
お登勢 (加納家女中) |
加納志津 (加納家息女) |
津田 貢 (稲田家家臣) |
加納市左衛門 (洲本吟味役) |
はま (市右衛門の妻) |
浜名実貴 | 今村文美 | 中村梅雀 | 藤川矢之輔 | 田中世津子 |
加納陸太郎 (加納家嫡男) |
石毛弥一郎 (洲本吟味役) |
佐伯織部 (東久世卿側近) |
津田頼母 (稲田家家臣) |
津田りく (頼母の妻) |
嵐 広也 | 山崎竜之介 | 瀬川菊之丞 | 志村智雄 | 前園恵子 |
多村慎吾 (徳島藩士) |
小川錦次郎 (徳島藩士) |
稲垣小次郎 (徳島藩士) |
片岡清吾 (徳島藩士) |
多村礼次郎 (徳島藩士) |
亀井栄克 | 中嶋宏幸 | 松涛喜八郎 | 鈴木 大 | 新村宗二朗 |
人形方 (津田家下僕) 中嶋宏幸 又野佐紋 亀井栄克 石田 聡 菊池 亮 鈴木 大 |
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三田昴馬 (稲田家家臣) |
三善 歩 (稲田家家臣) |
儀平 (加納家下僕) |
多助 (津田家下僕) |
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山崎辰三郎 | 又野佐紋 | 小佐川源次郎 | 石田 聡 |
原作 船山 馨 |
脚本・演出 ジェームス三木 |
美術 松野 潤 | 照明 森脇清治 | 義太夫 竹本駒之助 |
作曲 鶴沢津賀寿 | 振付 吾妻寛穂 | 効果 川名あき |
衣裳 伊藤静夫 | 舞台監督 中橋耕史 | 木偶制作 田村恒夫 (人形恒) |
鳴門市文化会館 3月31日(土) 夜6:30〜
上演時間 約2時間40分(20分の休憩を含む)
※約250台の無料駐車場あり |
郷土文化会館 4月2日(月) 夜6:30〜 4月3日(火) 夜6:30〜 4月4日(水) 昼1:30〜 |
阿南市市民会館 4月1日(日) 夜6:30〜 |
E-mailでのお問い合わせは 鳴門市民劇場ホームページ nrt-geki@mc.pikara.ne.jp まで。