2005年3月20日煙が目にしみる終演後鳴門文化会館ホワイエにて出演者のみなさんと鳴門市民劇場会員の交流会が行われました。
出演者のみなさん(敬称略・カッコ内は役名) ★加藤 健一(野々村 桂) ★坂口 芳貞(北見 栄治) ★青山 勝(野々村 浩介) ★一柳 みる(野々村 礼子) ★日下 由美(乾 幸恵) ★加藤 忍(瀬能 あずさ) ★伊東 由美子(原田 泉) ★松本 きょうじ(原田 正和) ★有馬 自由(牧 慎一郎) ★加藤 義宗(野々村 亮太) ★神戸 浩(江沢 務)
司会 森本(鳴門市民劇場幹事)
質問 鳴門市民劇場会員
- 司会
- 長年観劇していますが、私にとって今までで一番よかった芝居です。もっとも、坂口芳貞さんは「早春スケッチブック」でも鳴門に来て頂いているので、「一番よかった」がいい感想になるかどうか…ですが(笑)。では、加藤健一さんにマイクをお渡しして、自己紹介などから始めていただきたいと思います。
- 加藤(健)
- この小屋は声が通りにくいといわれ、事前にかなり打ち合わせもしたのですが、みなさん聞こえましたか?「間」を変えたり、声のハリを変えたりして工夫しました。みなさんからいい反応がもらえて、細かく笑っていただけて、嬉しかったです。
- 加藤(義)
- 亮太を演りました、加藤義宗です。今日はどうもありがとうございました。
- 加藤(忍)
- どうもありがとうございました。鳴門には「銀幕の向うに」という作品で来させていただいてまして、その時にも声に気を遣わないといけないということで緊張した記憶があります。今日はいい反応をいただけて嬉しかったです。
- 日下
- 鳴門には何年か前にも来たことがあるのですが…。「今までで一番おもしろい芝居だった」と言っていただけて嬉しいです(笑)。
- 有馬
- 鳴門は初めてで、今日渦潮を見てきました。又来たいと思います。
- 坂口
- 死人の役でしたが、現実でもあんな死に方がいいなと(笑)。笑っていただいて嬉しかったです。
- 青山
- 今回は加藤さん親子にはさまれて、お父さん役を演りました。顔が似ているといわれますけど(笑)。親子に見えたら嬉しいですね。
- 一柳
- 鳴門は初めてなんですが、中華そばにはいっている「なると」をすぐ思い出したんです。アレ、鳴門に関係あるんですか?
- 神戸
- 今日の役は僕の「地」です(笑)。舞台は初めてです。
- 松本
- 鳴門は初めてなんですが、今日は観潮船に乗りそびれて…。次回はきっと乗りたいです。
- 伊東
- 加藤健一事務所の芝居は初めてでした。四国に来たのも初めてで渦潮を見物しました。役はあんな感じでしたが本当は優しいんですよ(笑)。
- 加藤(健)
- あと、野々村家の娘を演じた長谷部がいるんですが、まだ俳優学校の生徒で、ほかの生徒が搬出をしているのでここには来ず、一緒に働いています。
- 質問
- 涙もろいので今日は泣かせてもらいました。役者さんたちは演技をされている中で本当に感きわまって泣けるものなのでしょうか?
- 加藤(忍)
- そういうことはよくあります。いつも自然に感情が動いてくれたらいいなと思っていて…。自然に泣けますね。
- 一柳
- 「よく泣けるよね」と言われますが涙を出そうと思って出しているのではなくて、気持ちが動くのですよね。でも台詞が言えなくなるほど号泣にはならないようにコントロールはできます。実生活でも女優の涙は「空涙」なんてよく言われますがそうじゃないんですよ(笑)。
- 質問
- 「原田 泉」さんという役どころはかなり存在感が大きく感じたのですがどういう位置付けなのですか?また、日常生活でも役作りを?
- 伊東
- 「原田 泉」はコワイ感じですけど実際の私はこわくないんですよ(笑)姉をみならって演技しているところもあるでしょうか。また隔世遺伝といいますか、おばあちゃんの若い頃と似ているかなという思いも持ちながら演じています。
- 質問
- 今日は本当に涙が出そうになりました。舞台上から観客の反応はどのくらい見えていますか?
- 加藤(健)
- お客さんの姿は最後列まで見えます。ただし、「寝ている」とかがわかるのは5列目くらいまでですね(笑)。
- 質問
- お客さんがたくさん笑ったら役者さんたちもノリますか?
- 加藤(健)
- それは間違いなくノリますね。泣き声が聞こえてきたりしてもノリますよ。劇を「みせられている」のではなくて「一緒につくっている」と思っていただきたいです。みなさんの反応は常に気にしていて、客席がシーンとしてしまうと臆病になってしまいます。最初どんな感じかなと探ったあとは思い切り笑ったり泣いたりしてほしいですね。
- 質問
- 昨日お葬式に行ってきたばかりなんですが、今日の劇を見てこんな風に死者との接点があれば、またこんな死に方ができればいいなと思いました。観客としてはいつも拍手のタイミングに悩みますが、思い通りに拍手しても演技の邪魔にならないのでしょうか?
- 加藤(健)
- 邪魔にはなりませんよ。大丈夫です。「掛け声」なんかもどうぞ!(笑)
- 質問
- 劇中出てきた映画で、どうして「宍戸錠」さんを登場させたのですか?
- 加藤(健)
- 作家の脚本どおりなので…。どうしてなのでしょう?またどうして「大草原の渡り鳥」って映画になったのかもよくわかりませんけど。でもあの映画のビデオを見ましたが、あんなシーンは少なくともないですね(笑)。
- 質問
- 以前もってきていただいた「銀幕の向うに」という作品も、親子の情愛を描いたものでたいへん好きだったのですが、今回も2組の家族の情愛が描かれていますね。「死んでしまったらおしまいなので、生きているうちに語るべきことを語っておこうね」というメッセージかなとも感じながら観ました。今回は加藤義宗さんを初めてみさせていただきましたが、親子で声がとても似ていらっしゃいますね。今の義宗さんの年齢と、お父様の加藤健一さんが事務所を立ち上げられたときの年齢は、比較してどうなのですか?それから、もうひとつの質問は、「審判」という作品はたいへん衝撃的だったのですが、あのような一人芝居で長台詞を覚える努力はどうやってされているのでしょうか?
- 加藤(健)
- 義宗が生まれた年が丁度事務所創立の年でした。なので、彼と加藤健一事務所は一緒に年を重ねています。普段親子で似ていると感じたことはあまりなかったのですが、稽古場で聞いていると確かに声が似ていますね。それから体型もそっくりでしょう(爆笑)。 「審判」については、それはたいへんです。昔は1ヵ月程度で台詞を覚えられましたが、今は無理。今年秋から演ろうとしていますがそろそろ準備にかからないと、と思っています。
- 質問
- この作品は2〜3年前に一度観ていて今回2度目ですがやっぱりすごく楽しかったです。でも初演のときから出演者が変わっていますね。義宗さん、お父さんと一緒の舞台は楽しいですか?
- 加藤(義)
- 他の共演者の方々とかわりなく、特に親だからといって僕の方にはテレはないですね。「桂おばあちゃん」はかわいいな、と思いながら演っています。
- 加藤(健)
- 普段は親子なのに劇中では偽の家族なので、僕の方はテレくさくて…。2〜3回共演すればテレはなくなるのでしょうが。早くそのときがきてほしいです。
- 質問
- ストーリーを読んだとき、弱々しいおばあちゃんを想像していましたが違っていました(笑)。加藤さんにイメージ作りはあったのでしょうか?
- 加藤(健)
- 男が演じるおばあちゃんなので、藤山寛美さんや青島幸男さんがすぐ出てくるでしょうし、意地悪で嫁に当たるというイメージが最初はありました。でも回を重ねてきてだんだん優しくなっていますよ。ただし、着物を着ると一層デカくなってしまうので、それは仕方ないですね。
- 質問
- 私の2人の子どもが今東京で役者の勉強中です。それで、息子さんに対して、父親として役者という仕事への思いはどんなものか、聞かせていただけないでしょうか。
- 加藤(健)
- 僕自身が役者になろうとしたときには、「絶対に食べてはいけないよ」と言われたものですが、それが普通の考えだったし、それでもいいやと思ってました。偶然、今食べていけていますが…。息子へも、この道で食べていけなくても、楽しければいい、バイトをしてでも楽しくやれたらいいじゃないか、という思いでいます、もっとも本人は「この道で食べていこう」と思っていると思いますが。東京のお子さんたちにはがんばっていただきたいです。
- 加藤(義)
- 僕は22歳まで音楽をやっていて、今もバンドはやっているんですけども。22歳頃に、音楽でやっていくのはちょっとキツイかな、と思い始めて、それじゃ何?と考えたときに、ずっとみてきた「芝居」がいいかなと。今まだ修行中です。
- 質問
- 役者さんって「定年」がないお仕事でいいですね。
- 加藤(健)
- いいですよ〜。年をとるとどんどん「競争相手」も減ってきますしね(笑)。ラクですよ〜(笑)。
- 質問
- 今回は再演ということで前回と変えたところはどんなところですか?
- 加藤(健)
- キャストと装置ですね。装置の方は、「桜」を、本物のソメイヨシノみたいにして欲しいと強く希望しまして、随分込入ったすごいものができました。キャストの方は、今回出ていただいた方はみなさんご自分の劇団の座長さんクラスの方ばかり…。青山さんは「劇団 道学先生」、伊東さんは「劇団 離風霊船」…。
- 質問
- 最初の場面、真っ暗な中でチョウチョが飛びましたが、あれはあとの場面に出てくるインドネシアの蝶につながるんですね。
- 加藤(健)
- そうです。あと、2つの魂のイメージもありますね。アレ、キャストが手で飛ばしているんですよ。「効果」とかいうのではなく…。インドネシアのスラウェシ島には実際行ってきましたがきれいなところです。
- 司会
- まだまだお話は尽きないのですが、そろそろ予定のお時間です。劇団の皆様、本日はお疲れのところ、どうもありがとうございました。
E-mailでのお問い合わせは 鳴門市民劇場ホームページ nrt-geki@mc.pikara.ne.jp まで。