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あめくみちこさんに演劇直前インタビュー

楽屋訪問33

劇団東京ヴォードヴィルショー公演音楽劇 「見下ろしてごらん、夜の町を。」鳴門例会(2009年1月21日)で“主人公木下藤吉の妻の順子”役をされるあめくみちこさんを公演前に訪ね鳴門市民劇場がインタビューしました。

あめくみちこさん
鳴門市民劇場(以下鳴門と略)
東京ヴォードヴィルショー様にお会いできるのは2003年11月『その場しのぎの男たち』、2005年11月『竜馬の妻と夫とその愛人』に続いて3回目となり、とても楽しみにしておりました。『見おろしてごらん、夜の町を。』は昨年末に出来たばかりのお芝居ですよね。幹事の者も誰も見たことがないので、どのようなお話なのかあらすじから想像するしかありませんでした。公演ちらしの中の、中島淳彦さんの言葉からは、何か面白いことが起こりそうな予感がして、今日のこの日をとても楽しみにしておりました。このお芝居は『愛』がテーマだとか……。ずばり見どころはどこでしょうか?
あめく(敬称略)
うちの劇団では初めての音楽劇でして、フォークソングを愛するおじさん達の愛の物語なんですね。その中で家族関係だったり、親子関係だったり、恋人関係だったりいろんな愛の形が存在しているんです。
鳴門
登場される方、それぞれに物語があるということなんでしょうか?
あめく
そうです。ライブハウスに訪れる人達のエピソードがいろいろちりばめられているんです。
鳴門
その中で、あめくさんは佐藤B作さんとご夫婦を演じられているんですよね。
あめく
ええ、なぜか中島さんに脚本を書いていただくといつも夫婦なんですよ(笑)。以前のお芝居も、離婚寸前の夫婦の設定だったんですが、今回も台本をもらうと、夫婦でしょ、『また、コイツとかよ』ってB作さんも思われたんじゃないかしら(笑)。どちらかというと中島さんは、当て書きをされる方なので、私たちを書こうとすると夫婦にしかみれないんじゃないでしょうか?
鳴門
では、エピソードの中でも、現実とリンクしてる部分もあるのでしょうか?
あめく
今回もかなり当て書きされたところもありますね。見ていただければ分かると思いますが、『気の強い女房と尻にひかれた旦那』の話になっております(笑)。そんな中で、旦那さんがライブハウスを買うというところから今日の物語は始まるんです。
鳴門
初めての音楽劇ですが、普段のお芝居と違って苦労された事はありますか?
あめく
普段のお芝居とは全然違いましたね。B作さん達の世代は、ギターに触ったことがある人が多くって、……若いころに女の子にモテたかったんでしょうね(笑)。でも、若い人は今回が初めての人が多く、夏ごろから練習をはじめていました。私は歌を歌うんですが、全くお芝居のセリフと感じが違うんですね。歌うという行為自体に慣れてないですから、初めての練習のときは恥ずかしくて恥ずかしくて、全身の毛穴が開いて汗が噴き出てきましたね。練習を重ねてようやく慣れてきたんですが、上手く歌おうとするとダメなんでしょうね。今回の劇中歌は18曲あるのですが、すべて中島さんの作詞作曲なんですね。中島さんからのアドバイスとして、歌おうと思って歌わなくっていいんだよ、楽しく歌ってくれればそれでいいんだよ、下手な人は下手なりに真面目に歌ってくれれば伝わるんだよって言ってくれて、ここまで来れたような気がします。
鳴門
あめくさんも楽器はされるんですか?
あめく
私はおもちゃのピアノを弾きながら歌います。私は手が大きいから、おもちゃのピアノは鍵盤が小さく弾きづらくて大変でした。
鳴門
ピアノはもともとお弾きになられるんですか?
あめく
いえいえ、小学校・中学校にお稽古として習った程度ですので、今回は30年ぶりにピアノに触りました。
鳴門
搬入の際に思ったのですが、今回は楽器が多いですね。
あめく
ええ、劇団じゃなくてどっかのビックバンドみたいでしょ(笑)
鳴門
キダーが多かったですね。
あめく
何本くらい持ってきているんでしょうか?20本以上はあるんじゃないかしら。
鳴門
すべてご自身で演奏されているんですか?録音した音源を使われていたりとか?
あめく
いえ、すべて生演奏です。今回は海援隊で武田鉄也さんとご一緒にされている千葉和臣さんが客演として来ていただきまして、その千葉さんに演奏いただいて歌う贅沢な曲もあったりします。もちろん劇団員も演奏していますので、ときどきコードを間違ったりして、あれ?なんていう場面もあったりします。それもライブのいいところで、楽しさのひとつだと思います。
鳴門
書き下ろしの場合、台本は出来上がったものから順番に皆さんに知らされるのですか?
あめく
今回は、最初1/3ほど出来上がってきましたね。
鳴門
終りが見えない中で、ご自身でキャラクターをふくらませていくんですか?
あめく
そうですね。1/3なのでまだ台本に出てきてない人もいたりするんですよ。登場人物が多いので、中島さんにとっては大変だったと思うのですが、全ての登場人物を温かく描いて下さいました。
鳴門
ある日突然、今まで出来上がっていたものが全部取り換えられて、違う方向に話が進むこともあるんでしょうか?
あめく
書き下ろしだったりするとそういうこともときどきあるんですけど、今回は無かったですね。三谷幸喜さんですと、10頁できたと思ったら5頁戻って、5頁しかない、どうなるのかなって思っていると、その5頁もなかったことにしてくれなんてこともあるんですが(笑)。
鳴門
今回の劇中歌の中で一番好きな曲はありますか?
あめく
一番好きな曲ですか?選ぶのは難しいですね。どれもいい曲なので。
鳴門
どれもいいですか?
あめく
ええ、中島さんがご自分で歌う曲もありまして、あまりに上手くて笑ってしまうくらいです(笑)。それにやはり、自分で歌う歌も好きですね。ああ、それとB作さんの歌う曲もいいですね。その曲は最後にも歌うんですが、好きですね。
 
鳴門
以前、つかこうへいさんの舞台に感動してこの道に、とネットで見たのですが、東京ヴォードヴィルショーとの出会いはなんだったのでしょうか?
あめく
学生の頃、つかこうへいさんの舞台に感動して、どうしても劇団に入りたくなって、すぐつかこうへいさんの事務所に電話したんです。裏方でもなんでもいいから事務所に入れてもらおうとお願いしようと思ったのですが、残念ながらつかこうへいさんの事務所が一時解散する時期だったんです。それで、いろんな劇団を探している時に東京ヴォードヴィルショーがすごくいいお芝居をしていたんです。お笑いのためにここまで真剣に取り組んでいるんだという姿勢に感銘し、オーディションを受けでみようと思ったんです。その頃はうちの劇団も人気があったんですよ。ちょうど金ドンで山口良一さんが出ていた頃でしたので、山口さんの劇団に入りたいって方も多くいましたからね。
鳴門
何名くらいの方がオーディションに来られていたのですか?
あめく
200人くらいでしょうか?そのうち20名くらいが合格したと思います。私は運よく通ってしまいまして、何の経験もないまま高校卒業後すぐに入団することになりました。何もしらなかったのであの頃はよく怒られていましたね。
鳴門
オーディションはどんなことをされたのですか?
あめく
リズム感のテストとして、音楽にあわせて動いてみたり、三好達治さんの短い詩を自由に表現してみてくださいとか。確か『蟻が蝶の羽をひいて行く ああ ヨットのやうだ』という詩でした。
鳴門
よく覚えていらっしゃいますね。
あめく
そうですよね。よく覚えていますよね。25年も前の話なのに。他にも自由コーナーというのがあり、歌を歌ってもいいし、踊りをしてもいいしという感じですね。
鳴門
ところで、あめくさんの『竜馬の妻とその夫と愛人』のおりょうはよかったです。こうしてお会いしてみると小さな方なのに舞台ではとても大きく見えまして、女房と二人であめくさんはすごい方だなって話してたんですよ。
あめく
ありがとうございます。やはり、竜馬と一緒にいた女性ですので、竜馬と同じくらい人間的に大きなものをもった女性を意識しつつ、子供っぽいところも併せ持つ女性を表現できればと思い演じました。演出からも、いつも後ろに竜馬がいるような感じに演じてもらえると嬉しいと言われておりましたし。私自身、たくさんの資料を読むう ちにおりょうさんのことがどんどん好きになっていきました。
鳴門
そうだったんですか。今回のインタビューにおいては、おりょうを演じられたあめくさんに是非お会いしてお話をお伺いたいという意見がありまして、お願いすることになったんです。
あめく
そうなふうに言っていだいて、とても嬉しいです。
鳴門
『竜馬の妻とその夫と愛人』はニューヨークでも公演されたんですよね。非常に好評だったとか。
あめく
そうですね、おかげさまで3日間の公演がソールドアウトになりました。ニューヨークに住んでいる日本人の方ももちろんですが、ご覧になられた方の口コミで現地の方も大勢来場してくれました。日本の方と同じようなところで笑っていただき、字幕なのにこんなに楽しんでくださるなんてって思うと嬉しかったですね。……芝居は赤字になりましたけど(笑)
鳴門
満席だったのにですか?
あめく
はい。遠かったもので……。
鳴門
なるほど。
 
鳴門
お聞きしたいことは尽きないのですが、時間の関係もございまして、最後に鳴門市民劇場の会員に向けて一言お願いいたします。
あめく
こうやって演劇鑑賞会の皆様に呼んでいただいて全国でお芝居できるというのは、東京公演だけで終わるのとは全然違うんですね。一つの芝居を1ヶ月2ヶ月、長い時には3ヶ月4ヶ月もの長期に渡り上演させてもらえるというのは、若い劇団員にとってとても力になりますので、私達のお芝居を観賞会の皆さんが選んでいただけることは本当に嬉しいことなんです。選んでいただいた皆様の期待に応えられるようないいお芝居をしてゆかなければと思います。こんな御時世ですと、生活の中での優先順位では、お芝居なんかは一番最後になるものなのに、今日のようにたくさんの方が観に来ていただけるなんて有難いことだと感謝しております(大粒の涙を目にためながら)これからも、頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
鳴門
ご挨拶の際にもお話いたしましたが、過去5年で3回来鳴していただいている劇団も少ないですし、過去2回ともとても好評でしたので、今回も非常に楽しみにしております。
あめく
ええ、今回は、また今までと違うお芝居に仕上がっておりますので、是非楽しいんでいただきたいと思います。
あめくみちこさんとインタビューア

E-mailでのお問い合わせは              鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。