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吉田要士さんに開演直前インタビュー

楽屋訪問56

  劇団スイセイ・ミュージカル「楽園」鳴門例会(2012年11月18日)で“川村星司”役をされる吉田要士さんを開演前の楽屋に訪ね鳴門市民劇場がインタビューしました。

吉田要士
鳴門市民劇場(以下鳴門と略)
まず、最初にこのお芝居のテーマはなんでしょうか?
吉田(敬称略)
劇団の基本理念のひとつに『平和を希求していくこと』があります。この作品をご覧いただいたことで、あえて「平和」という言葉を口にしなくても「平和」について何か感じていただけたら嬉しいです。
鳴門
恋の行く末が非常に気になるのですが?
吉田
真珠湾攻撃の時代を描いているのでやはり恐い場面や悲しい場面もありますが、当然ミュージカルらしい華やかな場面もあります。スイセイ・ミュージカルの舞台創りは、辛いだけではなくその先に希望や望みを感じていただきたいと常に考えています。ですので、星司とレイラーニもまた違うかたちで出会い、その想いは生き続けていきます…。
鳴門
ワークショップも見せてもらいました。吉田さんのピアノも感動しましたが、フラも素敵でした。皆さんどれぐらい練習されたんでしょうか?
吉田
約5年稽古を積んできました。フラの先生がおっしゃるには、フラは3年以上踊らないと人前で踊っちゃいけないそうなんです。『フラは伝統的な踊りなので、意味合いも分かってないのに形だけで踊ってはいけない、まずは心を持ってから踊りなさい』という意味の時間だと思うんですけど。ですので、なるべく早くからフラには取り組みました。 通常僕たちが舞台で踊っているダンスとは、やはり重心のとり方や、手の動かし方が全く違うんですよね。例えば、基本的にバレエは身体を引き上げて踊っていますが、フラはどっしり腰を落とさなければならないとか…。
鳴門
ハワイの方と結婚した友人がいて、フラはいいよって勧めてくれるんです。
吉田
フラは本当にいいですよ。僕はもともとハワイが好きなんですが、この芝居をきっかけにフラもすごく好きになりました。いつかハワイに移住してフラをやってるかもしれないな、なんて思うこともあります。鳴門市民劇場の機関紙を読ませていただいたんですが、会員の方でフラをされている方がいるそうですね。逆に僕達が教えてもらわなければならないんじゃないかとドキドキしています。
鳴門
舞台で気にかけていらっしゃることはありますか?
吉田
今回の作品は、今まで僕が演じてきた作品のどの役に比べてもやっぱり台詞や歌の量が多いんですね。ですから、それをどのように表現して役を成長させていくかが一番難しい点でした。
鳴門
特別例会で学生達がたくさん観に来る予定です。その中に知り合いの娘さんもいますが、その子はバレエを習っているんです。将来その道に進みたいと思ったときに、どのような作品を観たらよいか、将来の為に今何をすればよいかなど、アドバイスをいただけますか?
吉田
初めてみる作品ってその方にとって、良くも悪くも後にすごく印象に残りますよね。そしてレッスンをしている時って辛いことも多いと思いますが、舞台を始めて観た時に感じたキラキラした気持ちを、いつまでもずっと持ち続けてほしいと思います。逆に、僕らは、今日のこのミュージカルが初めての舞台になるであろう学生の皆さんに、「いい作品だった。」「感動した。」って言ってもらえるような、素敵な舞台を創りたいと思います。また、今現在ミュージカル俳優を目指している子達には、歌であろうとダンスであろうと、ミュージカルは全てが芝居なんだという事を大切にしてほしいと思います。 どんな辛いことがあっても、諦めないで突き進んでいく気持ちを忘れないでほしいですね。
鳴門
吉田さんの好きな場面はどこですか?
吉田
本編の一番最後に『全ての終わりには』という曲があるんです。僕の妹役の治子が語る歌です。この物語は星司とレイラーニの物語が中心に描かれていますが、この時代に生きた人々を全て見ているのは治子だけなんです。治子だけが生き残って、その彼女が語った物語がこの『楽園』なんです。ですので、治子は全てを背負ってこの曲を歌っているんですね。
鳴門
自分のシーンじゃないんですね。
吉田
もちろん自分のシーンはやはり大切に演じてますし、好きじゃないといけない!と思いますが…。一番と言えばこの場面ですね。いつも舞台袖で最後のシーンの衣裳に着替えながら、その音楽に感動し震えています。
鳴門
私とミュージカルの出会いは、『夢があるから!』なんです。今日、その時買ったパンフレットをもってきたんですが、そのとき吉田さんにサインをしてもらって吉田さんの大ファンになったんです。吉田さんのスイセイ・ミュージカルとの出会いはなんだったんでしょうか?
吉田
大切に持っていてくださって嬉しいです。僕はロンドンに95年から97年の2年間留学していたんです。そのときに出会ったミュージカルで『フェーム』という作品があるのですが、僕はその『フェーム』が大好きになって、しょっちゅうその劇場に通っていたんです。留学を終えて日本に帰って来た時に、日本でも『フェーム』が上演されると聞いて、日本人が演じる『フェーム』ってどんななんだろうって思い、観に行ったんです。ここだけの話、そんなに期待していなかったんですが、実際に観てみると自分もこの舞台に立ちたいって思うほどに感動したんです。そうしたら、その数か月後に、『フェーム』のキャストオーディションがあるというじゃないですか! これは応募しなくてはならないって……。それが劇団スイセイ・ミュージカルだったんです。そこから始まって今は16年目になります。
鳴門
毎日お忙しいとは思いますが、身体のケアとか気にかけられていることとかありますか?
吉田
とにかく一番気を付けていることは、喉のケアですね。特にハウステンボスでの公演が入ると毎日が本番なんです。1週間〜10日に1日の休みなので、本当にきちんと自分自身を管理していないとならなくて、そのために一番基本的な事ではありますが、手洗いとうがいは必ずしています。これだけでもかなり予防ができますからね。あと、睡眠はしっかりとるようにしています。毎日7〜8時間は寝るように心がけています。
鳴門
連続で寝られるんですか?
吉田
なるべく続けて寝るようにしています。他には、朝、時間がない時でも身体を温める為5分でもいいから湯船につかるとか、朝食をしっかり食べるとか、声を出す前には必ず身体を温めてからにしています。特に、今回の作品は高い音から低い音まで幅が広いので、特に気をつけています。
鳴門
それにしても素敵な声をお持ちですよね。もともとそんな声質だったんですか?それともトレーニングをなさったんですか?
吉田
高校生の頃、友達と遊びでバンドをやったりはしていたんですけど、トレーニングも何もしていなかったので、今思うとひどい声だったんでしょうね。それからクラッシックの先生について本格的に歌の勉強をしました。ロンドンに行っていた時は声作りをメインにしていました。歌う声としゃべる為の声作りですね。僕の通っていたヴォイストレーニングは弁護士や学校の先生や、役者以外の人もたくさんいたので、いろんな意味で勉強になりました。
鳴門
どのようなトレーニングをすればそのような素敵な声になるのですか?
吉田
僕が先生からよく言われたのは、とにかくリラックスする事です。身体の力を抜くと、その時しゃべる為に必要な空気が自然に身体に入ってくるんです。人間て日常生活で呼吸のタイミングを計ったりしないですよね?歌を歌う時も同じでリラックスをして自然な呼吸。そしてレッスンの時にはなるべく良い香りを嗅ぐようなイメージで息を取ります。そうすると自然と声も豊かな暖かな音色になってくるんです。 是非イメージしてやってみてください。
鳴門
ところで、小耳にはさんだのですがお料理がご趣味だとか?
吉田
そうですね。僕はなるべく自分でご飯を作って食べるようにしています。でも、忙しくなるとどうしても作る時間がなくなって、たまにコンビニでおにぎりやパンを買ったりすることもあるのですが、一人で部屋でコンビニの物を食べているとすごく寂しくなるんですよね。ですから朝は、目玉焼きを作って、パンを焼いて、キュウリを切って、紅茶を入れて…と本当に簡単ですがなるべく時間を作るようにしています。また、料理ではないんですが僕の自慢の手作りスィーツは…ティラミスなんです。これは本当においしいんですよ!イギリスにいる間にイタリア人の友人に教わったんです。向こうではティラミスは家庭料理で、代々レシピが受け継がれているんですよ。すごく簡単なんです。
鳴門
是非、そのレシピ教えてほしいです。次回公演では吉田さんの手料理を期待しています。最後に、鳴門市民劇場の会員に向けて一言お願いします。
吉田
お芝居を少しでも多くの方と一緒に!という皆さんの活動は本当に素晴らしい事だと思います。全国にある演劇鑑賞会の中でも特に鳴門の皆さんの思いやパワー、団結力は本当にすごいんです。そのあらわれがこのロビーの飾り付けですよね。だから、僕たちはまたここに帰ってきたいと思ってしまうんです。 これからも皆さんと同じ気持ちで前に進んでまいります。
吉田要士さんとインタビューア

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nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
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