2013年11月23日(水)20:50〜21:20
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奥田製作所事務員 :重野役 |
石川製作所社長、 一雄の母:石川弓枝役 |
奥田製作所従業員 :山岸役 |
奥田製作所古参 :梶原役 |
頑固親父社長 :竹夫役 |
後継ぎ息子社長 :鉄彦役 |
竹夫の妻、 鉄彦の母:道子役 |
野村須磨子さん |
菊地佐玖子さん |
佐藤文雄さん |
千田隼生さん |
鈴木瑞穂さん |
横手寿男さん |
谷田川さほさん |
- 司会
- 役者さんは順々に来てくださいますので、来られた方からそれぞれ自己紹介と芝居を終えてのひとことをお願いすることにいたします。
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- 鈴木
- 今日はありがとうございました。半身不随の竹夫を演じました。半身不随がこんなにたいへんなこととは思いませんでした(笑)。でも、こういう役で、不便を乗り越えることで、また何か新しいものが見えた気がします。この芝居は、実は、500〜600人の観客を想定してつくったもので、今日の会場は広いので不安でしたが、皆さまが正確な反応を示してくださったので、とてもやりがいがありました。
- 千田
- 奥田製作所ではロートルの梶原を演じました。劇団でも老団員でして(笑)役どころと実際が似ています。今日はありがとうございました。
- 佐藤
- 今回四国は松山からスタートして、今日が最後になります。今日は皆さまの熱い視線を感じました。四国最後で良い1日を過ごせました。またこれからもよろしくお願いします。
- 菊地
- ありがとうございました。私は80歳になるんですけども、まだ何回かはこうやってお邪魔できるように思います(拍手)。
- 野村
- 「はい、奥田製作所です」と電話応対をしていた事務員の重野をやりました。最初のシーン「ございます」の台詞のところで、早くも皆さまのあたたかい反応を感じました。四国は今日で最後、ありがとうございました。
- 谷田川
- ありがとうございました。この芝居は、震災の直後に首都圏でやっていたのですが、そのときに、四国に来るにあたって、高知の方から「鳴門の会場は広い」ということをきいて少し心配していました。ですので、今日はどうだったか、皆さまの感想を是非きかせていただきたいです。やる方としてはとてもやりやすかったのですが。
- 司会
- 私は今回、徳島の会場で観ましたが、物語が次々展開していくにつれて、色々と伝わるものがあり、じわりじわりと感動しました。会場から質問をお願いします。
- 会員
- タイトルは「はい、奥田製作所。」で、これは劇中の台詞から…ということでしたが、実際には、電話応対では「はい、奥田製作所です」と「です」がついていました。どこかから「です」がなくなるのかなあと思っていましたが…(笑)。
- 野村
- 電話の応対なので(「です」をつけるのは)仕方ないですかねえ。
- 鈴木
- 「です」から「ございます」に変化していく、作家も細かいことを色々考えていますが。この作品は中小企業の人々の思いが詰まっていて、またそういう方々の感想もききたいと思います。次は北海道に公演に行きますので、また参考になるでしょうし。
- 横手
- (ここで登場)今日はありがとうございました。四国ブロックは今日が最後ということで、とても気持が高ぶった舞台になりました。会場が広くて不安でしたが、雰囲気に助けられ、自分自身が2時間たっぷり楽しめました。
- 会員
- 最初、"鉄彦さん"の様子がぎくしゃくしているように思えたのですが、あれは内面から出てくるものだったのですね。その後色々あって、人間的に成長されて、良かったです。早くから拍手などをすればよかったのですが、なかなかタイミングがつかめず、でも最後は思い切り拍手しました。日本を支える町工場の人の心意気を目の当たりにすることができ、素晴らしかったです。
- 会員
- 舞台に近い席で観ました。台詞もよく聞こえ、よかったですが、特に舞台装置が素晴らしいと思いました。町工場の臨場感が伝わってきました。また、20人の登場人物がそれぞれみんな個性的で、こんな劇は久しぶりでした。ハラハラドキドキする展開もあり、最後は幸福感に包まれました。ありがとうございました。
- 会員
- あの旋盤は本物でしょうか?迫力がありました。
- 鈴木
- いえ、あれは作り物です。
- 谷田川
- 劇団銅鑼の人がつくったんですよ。精密な仕事が得意な人がいまして。
- 司会
- 今回は例会に先駆けて、脚本家小関直人さんの講演会を開催しました。小関さんのお話の中で、脚本のために実際に町工場をみてまわったということがありましたが、役者の皆さまもそういうことをされたのでしょうか。
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- 佐藤
- 私は蒲田にある工場に小関と一緒に行きました。その工場は1人でやっているところで、ドラマの「梅ちゃん先生」でも取材されたところです。今日の劇で出てきたポンプのシリンダーは本物ですが、その工場の方に教えてもらいました。そのほかにも何軒かまわりました。
- 菊地
- 私は鋳物工場に行きました。素朴で、原始的な作り方をしているところでした。大将が女性で、その方は何につけてもとても優秀な技術を持っているということで、何か参考にしたいと思いました。
- 会員
- 素晴らしい作品で、胸がたかなって興奮しています。私のサークルに前例会から入った人がいて、今日は隣で観ていたのですが、涙されていまして、前例会からお誘いして、この劇を観てもらってよかったと思いました。この作品には、人間関係においての信頼や、誠実に生きていかなければならないということ、仕事とどう向き合うかということ、親子の関係、友情など、本当にたくさんのことが描かれていました。人間を多面的にとらえ、たくさん、教えられることが詰まっていました。また、皆さんのアンサンブルもとても素晴らしかった。実際に、こういった旅公演をされる中でも仲良くされているのだろうと思ったのですが、団結の源はどういったことでしょうか。
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- 千田
- 舞台も劇団も似たようなもので。我々は創立メンバーで、もう41年になりますが、銅鑼は、先輩後輩の関係において、もちろん先輩を尊敬はしますが、上下というものがあまりなく、同じ視線で互いを見ている、という特徴があります。そういったことがこの劇、「奥田製作所」にも出ているように思います。
- 司会
- 本例会の機関紙に、制作の田辺さんが、今回でこの作品上演は95回目だと書いてくださっています。
- 会員
- この作品は休憩なしの一幕ものですね。役者さんにとってはこのような作品はどうなのでしょうか。また、鈴木さんは身体が不自由な役どころで演技のご苦労とかがあればきかせてください。
- 鈴木
- 休憩を入れるかどうかは作品によります。今回は無しの方がよかった。暗転で繋いでいく方がよかったということです。休憩を入れるとそこで大きく途切れます。再開したときにはまた少し繰り返しを入れる等で繋ぐ必要がありますが、今回は続いていたほうが、心理的にもよかったということです。休憩がある方が演ずる方はラクですけどね。でも結果的には、繋げた方が盛り上がる作品でした。
役については、色々できて面白いです。今回は「不随」である方の手をつい使いたくなって困ったということもありましたが(笑)、自分にないものを(役で)試せるというのは面白いものです。新たな自分の発見といいますか。
- 菊地
- 私はあとの方から出て行く役なので、トイレには行けますよ(笑)。最初の方は花道の下で観ていますが、それも面白い。空気感や熱が高まっていくのを感じて面白く、また、そういう風に高まるので、自分が自然に入っていけます。
- 会員
- 以前、鈴木瑞穂さんが「橙色の嘘」という作品で来てくださったとき、なんと若々しい方か!と思いました。それというのは、舞台上で何度も腕立て伏せをされていたから。日頃鍛えていらっしゃるのだろうと思いました。それが今日は正反対の役どころ。うまいなあ〜と感激しました。腕立て伏せは今もされていますか?
- 鈴木
- 今でもやれと言われればやりますが、でも私も年をとりましたので、それなりに…です。もう86歳でして、色々限界ですけど。若い人のエネルギーに励まされていますよ。
- 会員
- それはとてもわかります。
- 鈴木
- 「橙色の嘘」からというと、ずっと長く観てくださっているのですね。ありがとうございます。
- 会員
- 私はタウン紙のようなものである「リビング鳴門」というものにエッセイを書いていますが、そこに「橙色の嘘」のときの鈴木さんのことを書かせていただいたんです。(リビング鳴門2013年11月号21ページ)そのときも広い会場で声が聞こえるかという心配がありそのようにお伝えしたところ、「それなら、聞こえるようにしましょう」とおっしゃり、颯爽と歩いてこられ、音響装置なども確認して、色々工夫して演じてくださった。本当にありがたいなあと思いまして、そのことを書きました。
- 鈴木
- 今日はどうでしたか?聞こえましたか?(拍手)
- 野村
- そのエッセイは読ませていただきました。読んで、頑張りました。
- 会員
- 皆さま役作りを工夫されていると思いますが、"鉄彦さん"は2時間の間にどんどん変わっていきますね。それを巧みに演じられていましたが、どのような工夫をされているのでしょうか。
- 横手
- 細かい工夫などは、もちろん色々あるのですが…。もうこの作品は5年くらいやっていて、最初は力が入りすぎたりすることもありましたけども、回を重ねるごとに、周囲が自分を助けてくれる感じがするようになりました。周りに支えられています。"鉄彦"の内面が変わっていく、表情の変化とか、そういったものもみんなの中にいるからできているように思います。今は特に何もやっていないというか。身体には気をつけていますが、そのくらいでしょうか。
- 鈴木
- 主役は神輿の上に担がれているようなものでね。みんなが担いでくれるんです。ワッショイ、ワッショイと。上で揺られていたらいい感じでしょうか。
- 司会
- 最後に鳴門市民劇場にエールをお願いできますでしょうか。
- 佐藤
- 劇団銅鑼は、鈴木瑞穂が初代社長で、その後何人かが継いだのですが、自分が4代目なので、では私から一言。現在は、劇を観る環境も我々にとっての環境も厳しいですが、芝居、舞台芸術、ナマのものは、益々大切になっていくのではと思っています。これからも、人の心を揺さぶるような、隣の人が大切だと思えるような作品を創りたいと思っています。厳しい状況ではありますが、"鉄彦"が言ったように、まずは身近なところから…。身近な人をお誘いして、1歩1歩、裾野を広げていただきたいと思います。41年経験してきましたが、これからもいい芝居を作る劇団を目指していきたいと思っています。