南の国のある村。農場では傲慢な地主オッペルに虐げられて働く百姓たちがいた。そこに新しい世界を求めて群れを離れた白象がやってくる。初めは働くことを楽しんでいたが、百姓の仲間には入れてもらえず、食事のわらも日に日に少なくなっていく。体力も気力も衰えた白象は…。「働くこと」、「本当の自由」を現代の私たちに問いかける宮沢賢治の作品。
戦後、再建第1回公演や、プークの記念碑的作品として上演された「オッペルと象」。2019年に90周年記念作品として新たに創造し、好評を博した舞台が全国へ旅立ちます。
公演ちらしより
脚色・演出/井上幸子
1929年に創立したプークの活動の黎明期と、宮沢賢治の晩年の創作活動の時期とは4年ほど重なり、同時代を生きています。賢治が亡くなった後、それらの作品はプークの舞台創りの大きな位置をしめており、中でも「オッペルと象」は、プークの記念的な年に再演を重ねてきました。
今回はプーク創立90周年記念作品として37年ぶりに、脚色・演出共に新作として挑みました。
スピードアップした便利さの追求が「進歩」とされる現代は、行き着くところまで行ってしまったのでしょうか。消費社会に飲み込まれ、物に囲まれ、今や捨てることに関心が集まる、それには、多くの人が違和感を覚えているような気がします。
そんな時代に宮沢賢治原作の「オッペルと象」を取り上げる大切さを感じています。
「オッペルと象」の世界では、自然と共に生きる百姓たちの喜びと、オッペルの下で働かされる苦しみを見つめていきます。白象の望む、大人になること、自立することとは? 自由であることとは? そして本当の仲間とは? 先が見えない不安が追い打ちをかけてきますが、白象と共に悩み考え、一歩ずつ、光のさす方向に進んでいきたいと願っています。
90年余の活動を通して培われた人形劇の表現は、演劇の世界を広げてきたと自負しています。生きることの喜びや哀しみ、そして人間にとって大切な「笑い」を、これからも失うことのないよう、プークの総力を挙げて人形たちとお届けします。
公演ちらしより
オッペル | ジン | スッピー 月(台詞) |
サク 召使い |
ソング |
栗原弘昌 | 柴崎喜彦 | 大橋友子 | 市橋亜矢子 | 有田智也 |
ロジ 中象 |
ポポ | 白象(主遣い) | 白象 | チビ象 |
小立哲也 | 滝本妃呂美 | 野田史図希 | 遠田香苗 | 前田佳奈英 |
召使い | オウム | 大象 | 象たち コロス |
|
亀井佑子 | 長瀬円美 | 佐藤翔太 | 増田寛子 |
宮澤賢治原作「オツベルと象」より
脚色・演出:井上幸子 美術:若林由美子
音楽:マリオネット(湯淺隆・吉田剛士) 照明:増子顕一
音響効果:吉川安志 舞台監督:栗原弘昌 制作:石田伸子
協力/ムーブメント指導:上田亮(音楽座ミュージカル)
合唱:東大和少年少女合唱団(指導:千田鉄男)
藍住町総合文化ホール 2021年9月15日(水) 18:30~ 上演時間 約2時間00分(休憩15分含む) ※約350台の無料駐車場あり(他施設と共用) |
あわぎんホール 9月17日(金) 18:30~ 9月18日(土) 13:30~ (徳島市民劇場) |