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横濱短篇ホテル

劇団青年座公演

鳴門市民劇場1月例会
 2022年1月20日(木) 感想集


鳴門例会カーテンコール

7つの短篇が繫がっていくという構成のおもしろさと俳優さんたちの圧倒的演技力に魅了され、あっという間の2時間半でした。

5年ごとの7つの物語が何の違和感もなく繋がりとても楽しかった。そして最後のシーンはあっと驚かせて終わり、清々しい気持ちでした。

7つの物語。心に残った話は第6話「プロポーズ」。余命少ない幼友達が入院のために帰るその時に、ハルコが結婚しようと言ったところは、涙なくしては観られない所だった。しかし、その後の第7話「ネックレス」は、心に水をかけられた感じでがっかりしたが、ハルコとはそんな人間なんだと思えば心も収まる。むしろハルコの前向きな生き方に学ぶものがあってもいいかも・・・。

一つ一つの話がおもしろくて、とても時間が短く思いました。全体としても大変良かったと思います。

こんな「オムニバス形式の演劇もあったのか・・・という新鮮な感覚だった。人生の長きにわたって交流し、影響し合い、時には反発しあって歩んできた人生。女性ならではの関わり方だと感じた。男(少なくとも自分)は、あそこまで影響し合う関係の交友がないので逆に面白かった。と同時に、人はどこかでつながって生きているというのも確かにあるとも思った。

舞台の変わりも面白く、楽しくみせてもらいました。分かるかなと思っていましたが、分かりやすかったです。最後まで楽しく、後味が良かったです。

希望あり、苦しみあり、恋愛ありの人生を5年毎の短篇で綴ったお芝居。さしたる話ではないが短篇の一つ一つが面白く全く退屈させない。最後に7篇が繫がって、種明かし的な落ちに大笑い。心地よい気分にさせてくれる、お洒落な雰囲気のお芝居で、役者さんたちもうまい。

一篇一篇がお洒落で、深い劇でした。その繋ぎも面白く、楽しませていただきました。どうもありがとうございました。

短篇をつなげた物語はどんな感じなのでしょう?と思っていましたが、コミカルで思わず笑ってしまう元気がもらえる劇でした。 5年区切りの物語設定の中で、時代背景に使われている電話の役割が面白く、「あ~、そんな時代だったな~ とか、バブルの感じとか、色々と懐かしく面白かったです。

初めはよく分からなかったが、2話、3話と話が進むにつれて人の情けや思いがよく伝わる風情がよく表わされていて、場面場面の面白さに感動した。第7話のネックレスのように繋がって完結するストーリーは素晴らしいと思った。

一言で言うなら、「オシャレ」でしょうか。構成や会話が素敵で、脚本の完成度の高さを感じました。

今回の作品は「オムニバス形式と言われる、いくつものストーリーを並べて、全体で一つの作品にしたもので、大変新鮮であった。ただ、7つの短篇の繋がりが、自分にはやや消化不良で解りにくい部分もあったのが少し残念であった。 最後の柳井フミヨと杉浦洋介のかけあいのコミカルな部分のオチが最高におもしろかった。

先ず、今年最初の例会がクリアできて、いいスタートになったと思います。担当の方々、関係者の皆様方のご努力の結果だと思います。コロナも新型オミクロン株の猛威による拡大、あっという間に全国に広がってしまいました。
 今回の上演は、短篇の7話の話と思っていましたが、7話まで繋がっていておもしろかったです。カーテン(舞台幕)の案内とイラストが素敵でした。赤い靴がとくに印象に残っていてキレイでした。
 会場の広さも丁度良く、舞台との距離が近くて見やすいです。

私は今回初めて「演劇」というものを観ました。観る前までは、テレビでドラマなどを観るのとあまり変わらないものだろうと思っていました。けれど、実際に生で観てみて、観る前までの私の意見は覆されたように思います。役者さんの演技の細かい部分を全体から観たり、細かな効果音までつくられたり、とても新鮮な気持ちで演劇を肌に感じることができました。とても良い経験になったと思います。

カーテンが上がってお芝居が始まった時、舞台の立派さにびっくりしました。どこかのホテルの一室にいるような気持ちになりました。短いお話が次々と出てきましたが、だんだんにその話が頭の中で繋がってきて「ああ、そうだったのか」と納得できるのが、とても楽しかったです。

楽しかった。(よく笑った)
例会の印象
・死ぬまでに聴いておきたい生きる意味
・女子会に一人も聴く子無き如く
・人の話を聴かぬ人ほど成功す
・聴く力落ちて壁に叱られる ハハハ

鳴門例会カーテンコール

とにかくおもしろかった。一つのフレーズが短いし、背景や人の動きにスピード感があって、昨年3月例会の罠も面白かったのですが、今例会もそれに劣らずとてもおもしろかったです。

一コマ一コマの演目が面白くて早く終わったと思いました。今回は当番なので、前の方で観れたので、顔の表情がよく分かって、涙がキラリと光っているのを見て、私の方も感動をいただいた次第です。良かったです。

1970年から5年毎の各時代の変化があり、懐かしくも温かく感じました。7つの短篇なので、肩がこらず、楽に観ることができました。笑いあり、涙ありのおしゃれな芝居でした。人との関わりの中で、自分も変化していくことを感じさせられ、あらためて人との関係を大事にしていこうと思いました。

設定はすべて横浜の老舗ホテルの客室、喫茶室、ロビーラウンジの設定で、第1話から第7話まで、5年刻みの時間の流れが、人生の移り変わりとともに変化していく、面白いストーリー、舞台の展開だったと思う。大野木健太のプロポーズの場面のスマートな変身ぶりに驚いた。役者さんは変身上手だと思った。

役者さんの演劇に対するパワーをいただきました。色々なドラマが楽しめて良かったと思います。また、喜劇的な演劇は肩がこらずに楽しめて面白かったです。

老舗ホテルを舞台に人生を描くという発想と物語が大変面白かったです。はじめは、短篇のつながりがよく分からず、どうなっているのかと思っていたのですが、次第と繋がってきて面白く観ることができました。

7篇のオムニバス形式とのことだったので、切れ切れの小話かと思ったが、なんの何の、二人の女性を軸に、周りの人との偶然の出会い繋がりと、ほぼ二人の一生を描いた、とても面白く見ごたえのある物語であった。
 しかも、5年毎の同じホテルのひと時ひと時が軽妙で、アクティブで、一舞台一舞台あれどうだったのかと、最後まで興味深い舞台運びに引き込まれました。マキノノゾミ作、宮田慶子演出は素晴らしい。
 主人公達の高校生から熟年キャリア女性までの人生の積み重ねは、概して周囲の人たちにも素直に学び、自分の願いは積極的に追求努力する現代的な自由な生き方で共感を覚えた。いろんな人と出会い、助けられ、別れた。
 最終、ハルコの3回目の結婚式前の再会で、昔の思い出とともにフミヨの心のわだかまりも消え、7話が一つに繋がった。運命的であった。
 第6話に登場する現代若者カップルとの対比も面白く、時代の流れを感じるし、後半、昔初恋の同級生を思う心は優しく、観劇後爽やかな気分で終わったことを皆で話し合った。
 舞台装置もホテルの客室とラウンジを上手く切り換え新鮮だった。

同じ高校の演劇部員だった奥山ハルコと柳井フミヨ。ホテルを舞台に偶然の出会いと別れというそれぞれが織りなす短篇小説のような物語が、やがてつながりひとつの物語を奏でてゆく。7つの物語から構成されるこの作品は、1970年から5年おきに25年+αの歳月が描かれていますが、場面ごとの時間の流れがちゃんと感じられる演出や役者さんの演技がとても印象に残りました。最終章の「ネックレス~ある年の初夏」では、18才の奥山ハルコと柳井フミヨの2人のやり取りが描かれ、奥山ハルコがデビューするきっかけとなった最初のエピソードの舞台裏を垣間見せることで、すべての物語がまさにネックレスのようにつながった感じでした。場面の移り変わりごとにパネルが降りてきてホテルの客室、喫茶室、ラウンジにとセットが切り替わるのも洒落た感じで楽しい舞台でした。

なかなか観劇するのも大変な状態ですが、劇を観終わったら、観て良かった!と思いました。
 いろんな出会いがあって偶然その場に居合わせていたり、無意識のうちに関係していたり、人生って、きっとそういう繰り返しでできているんだなと思う。
 そういう意味では同じサークルのIさんご夫妻に出会わなければ人生の楽しみを一つ知らなかったな!と思います。

連続性のある短編で、おもしろく見せてもらいました。

7つの短篇がどのように表現されるのか、楽しみにしていると、舞台の前に7つの絵のパネルが並んでいて、それがどうなっていくのか楽しみでした。そして、1話終わるとパネルの一部がクルッと回ってタイトルが現れるという演出や、1シーン毎にそのパネルの前に次のシーンに繋がるちょっとしたシーンがあって、ワクワク感が出た。ストーリーは台本を読んでいるし、DVDも観ていたのに生ならではの役者の台詞回しや動きに、ついつい笑ってしまった。
 インタビューをさせて貰ったハルコ役野々村のんさんから「3話の野球選手とコーチのシーンが好きなんです」と聞いていたので注目していたが、実は藍住ではよく分からなかったが、もう一度徳島で観ると野球選手役の伊東潤さんの熱のこもった台詞に「あぁ、そういう事なんだ」と感動した。
 最後のフミヨからのネタバラシに杉浦役横堀悦夫さんの動きが面白くて、笑っていると、同じところでほとんど全員が笑っているようで、それを見て嬉しくて嬉しくて、今回も無事に例会が開催でき良かったと思った。


(よ) 横濱の老舗ホテルを舞台に、奥山ハルコと柳井フミヨの二人の人生が絶妙に絡み合い、進んでいく物語。
(こ) 今回のお話は5年ごとに時代を切り取った7つのオムニバス。奥山ハルコや柳井フミヨとほぼ同じ時代を生きてきた私には自分を回顧する物語でもあり、一つ一つの時代の出来事がとてもなつかしく感じられた。
(は) 始まりは「ヤクザに追われて」という自身の舞台設定の元、映画監督に自分を売り込む高校生の奥山ハルコから。高校の演劇で演じたという女性のセリフを再現する場面で、彼女の迫真の演技とその声量に度肝を抜かれた!
(ま) まんまと自分の野望を果たし、女優となっていく奥山ハルコ。一緒にいたのに、実行できずに一歩遅れをとった柳井フミヨ。
(たん)淡々と進んでいくようでいて、5年の月日は重い。5年分の二人の人生がそれぞれに絡み、複雑に交差していく・・・。
(ぺん)ペンを執ったのはマキノノゾミ氏、演出は宮田慶子氏。二人がタッグを組むと、こうも面白い作品となるのか。40年を超える時の流れも実にスムーズで、役者の年を重ねる様子も、そのときどきの物語も、切なかったり愉快だったり。5年ごとの場割のタイトルも実におしゃれだった。彼女ら二人の人生を切り取るにふさわしい「ワード」で感心した。私の心に染みたのは第4話「初恋の人」だった。
(ほ) 奔放に生きているかに見える奥山ハルコだったが、本当は心根の優しい、どこにでもいる優しい女性だった。私が一番好きな彼女は第6話「プロポーズ」の奥山ハルコ。癌の末期でもうすぐ死に行く初恋の彼とのプロポーズ後の彼女の献身的な介護の様子が垣間見えて切なくなった。
(て) 底辺に流れていたものは『世の中がいくら変わっても、大事なものはそんなに変わりゃしないよ』というマキノ氏の想いであり、『いいことばかりではないけれど、でもそうそう捨てたもんじゃないよ、生きるって・・・。』という宮田氏の想いだと思う。
(る) ルンルン♪・・・ちょうどこれを打っていたとき、私の耳に、テレビから歌声が・・・
    「・・・想う人がいる、想ってくれる人がいる・・・もう少し、この先へ行ってみよう、小さな幸せが支えてくれる、もう少しだけ・・・」<みんなの歌の一節> 

鳴門例会カーテンコール

 観劇にあたり、まずは『横濱短篇ホテル』というタイトルが興味深く、どんなお話なのだろうかとワクワクしながら劇の世界に入っていったのですが、横濱の老舗ホテルを舞台に1970年から5年ごとに描かれた6つのストーリーと、“ある年の初夏”という現代を描く最後のお話それぞれが1つの短篇ドラマでもあり、また、全てのストーリーがネックレスのチェーンのようにも繋がっていて、劇全体を短篇ドラマとしてもオムニバスとしても楽しめる工夫がおもしろいと感じました。
 流れとしては、演劇部に所属する女子高生二人の“憧れの映画監督に会いたいという気持ち”が発端となり、大女優と脚本家というそれぞれが選んだ人生を歩み、年を重ねて初老になるまでの様子と、ホテルでのささいな日常がうまく融合され、「ちょっとした勇気」や「偶然」というタイミングによって人生が激変していくさまを、笑いあり!涙あり!のスパイスとともに優しいストーリーとして描かれているのが、印象的でした。
 「人生っていろいろあるけど、いいものだなぁ・・」と、観終わった後、冬の寒さを忘れさせてくれるような、ほっこりとあたたかな気持ちになれる作品に出会えて嬉しかったです。
 ありがとうございました!

正直、期待値があまり高くなかったのです。それは作品がどうこうではなく、ひとつには「キレギレ」で観るお話に果たして気持ちが入っていけるのかどうか…という、未体験のものに対する懸念からくるものでした。ひとことで言うとその心配を見事に覆してくれた!
 ひとつひとつに(単純計算だと1話が約20分程度なのに…)しっかり観客を惹きつける独立した物語としての起承転結や、最後にフワッとした温かさや笑みやジンとくる感動が仕込まれていて、一つの作品なのに次々と楽しさが積み重なっていったお得感がありました!
 二つ目の懸念は、そんな「キレギレ」で長い年月を描き切れるのか…という時間的な側面での懸念…。もちろんその心配も全くの杞憂に終わり、フミヨとハルコの20年が何だか無理なくスーっと入ってきました。これについては「この20年」が、私も子供から大人へ成長しながら体験した20年であり、チラチラ出てきた時代を表す事件や社会情勢、そして流行歌なんかに多大なシンパシーを感じたことも大きかったと思います。追体験のようで、物語の中身を別にしても楽しかった~。
 ただ。第7話の最後にはあっと驚く結末…という風にも聴いていたのですが、どの部分がそれだったのか、観終えて改めて思い出しても思い当たらず小さな悩みになっています。フミヨが元夫と復縁していたこと??ハルコの三度目の結婚? フミヨが「明かした」(ウソでしたね)二人は誕生日が同じで乳児取り違えの被害者だったという話?どれも違うような…。スッキリしないので誰か教えてください(笑)。

涙あり笑いあり、とても魅力的な舞台でした。最後の場面で、高校生のハルコとフミヨのロビーでのやり取りを見せる演出は、すべての場面がつながっていることを表す効果的な演出で、舞台の世界に入り込むことができました。
 舞台は老舗ホテルの客室と喫茶室で、客室はシングルだったり、ツインだったり。
 観終わった後、舞台のセットチェンジがものすごくスムーズだったなと、気づいたらホテルの客室から喫茶室に代わっていました。
 演劇は、舞台上で演じる役者の皆さんと照明や音響などを含めた舞台芸術だなと改めて思いました。

役者さんがいい、脚本もいい、7つの短編からなるオムニバス形式だけど、ひとつひとつがきっちりと完結する中で笑ったり、ほろっときたりしながら、登場人物たちの人生を時間の大きな流れとして感じることができました。 好きだったのは第2話「人間観察」で、登場人物の弾むようなやりとりが楽しいし、チャップリンの「街の灯」のエピソードをオチとして盛り込んでくるあたり洒落ていました。
 ほぼ同じ時代を過ごしてきたこともあり、時代ごとの出来事や電話の変遷(ポケベルなんて、知らない人からしたらなんのこっちゃですよね)など背景の描写により一層舞台に引き込まれました。第3話「脅迫」は1980年、特定のモデルは無いと判っていても、1978年に川崎から横浜スタジアムに移転した横浜大洋ホエールズを思い起こさずにはいられません。70年代後半の大洋ホエールズは弱かった。そして第5話「離婚記念日」は1990年、バブル景気最後の年のクリスマスの出来事、巧みです。
 観終わってから「あ~なるほど、あ~面白かった」と思える素晴らしい舞台でした。

2022年度初めての観劇鑑賞は、私的には掛け値なしに「ごっつうおもろかった!」との一言で全てを語ることが出来る作品(横濱短篇ホテル)でした。
 そこで、私にとって今回の「横濱短篇ホテル」が、何故上述の一言で言い表すことが出来るのか、これから少しお話ししたいと思います。 先ずは、いつもの如く藍住町総合文化ホールの指定された色塗りの区域の座席に着座して、今回の舞台設定はどんなものかと視線を舞台へと移しました。そこにはディテールまでの美しさを放ち、リアリティ感がとても素晴らしい舞台セットが設けられていました。しかも、中央部よりやや(向かって)右寄りを頂点とした三角形の舞台設定で奥行きと広がり感が上手く調整されていたのにも非対称の美しさを感じました。そうこうするうちに、舞台上の7つのイラストが描かれたパネルをも最初に観た瞬間に胸の内から興味が沸々と湧き出てくるのを感じました。その興味というのは、この各々のイラストが一体何を意味するのかと、そのメッセージを読み取ろうとする私の身体の内からの感覚を覚えたからです。
 その後、7つの物語の最初の物語の幕開けを迎えることとなりました。その時に感じた素直な感想として、今回の劇は今までに観たものと何だか違うなとの印象でした。それは、おそらく予備知識も推測も何にも必要としないシンプルな物語展開だったのが要因なのかも知れないと、7つの物語を全て観終わった時に私は気づきました。
 その気づきのひとつとして、今回の公演様式であるオムニバス形式で5年毎の節目での各々の登場人物の人生の悲喜こもごもの物語展開で、過度な演出無しに丹念に且つ静かな流れでの表現が現実感を伴っていて非常に良かったと感じたことが挙げられます。
 そして、登場人物の各年代におけるその時点での人生模様が巧みに演出されており、それが演劇という非日常的なものではなく、現実に生きている我々の日常の一齣をアリアリと浮かび上がらせて、正しく私の日々の暮らしの中で感じる実体験のごときに思われ、非常に心に食い入る内容であったのも一因かと思います。それは、人と人との出会いと別れ、そして新たな出会いに人生の機微を感じ取ることができ、このことは互いの ”人生という細い糸” がある時は交差し、ある時には離れ、そして再び重なり合って、長い時を経ながら各々の ”人生という太い糸” を紡いで形作ってゆくのだなと私は思ったのです。
 その上で、7つの物語から各々の印象深い情景が瞼の裏に浮かんでくる、そんな心と心の触れ合いを感じました。
 そして、そんな印象を持つに至ったのは、今回の7つの物語が、私自身あるいは私の身近な人々の普段の何気ない日常での営みの中で経験した感覚と同じといったものが何処からともなく私の身体の中に浮かび上がってきたのを感じ取ったからだと思いました。
 ところで、そんな7つの物語から受けた印象とは別に、今回の演出には昭和生まれの私にとっては、とても嬉しい粋な計らいとも言うべきものを感じ取ることが出来ました。例えば、所々に出される昭和の小物(ポケベル、携帯電話、テレホンカード等々)の演出に、同じ時代を生きてきた者として、心憎いなと感じ入りました。 また、映画の紹介をするセリフでの「猿の惑星」には、私的には ”恐れ入りました” としか言いようがありません。というのも、正にその時代に「猿の惑星」を映画館で観た私にとって、まざまざと映画の各シーンが私の脳裏に走馬灯の如く蘇って来たからです。
 その他、物語が切り替わり新しく展開する際に流れてくるジャズ調の音楽が、物語の情景を私の目の前に映し出すかのように聴こえてきて、大人の物語を語る上で最適な選曲だなと思いました。
 一方、最後に出された ”201X” の ”X” は一体いつなのか?舞台上では「還暦」というセリフが放たれたこと、そして主人公の奥山ハルコが私よりも7歳年上と考えると、おそらく ”2012年” 頃なのであろうか?こんな推理を私にもたらしたのも今回の観劇の魅力のひとつなのでしょうね。
 しかし、それとは別に、最後までパネルの7つのイラストの意味する所(メッセージ)を読み解くことが出来ず、悶々とした心持ちで帰路に就いたのも事実です。ただ、これは私の深読みのし過ぎであって、ひょっとして最初からあのイラストにはメッセージなど無かったのかも知れませんね…。
 ここまでお話ししてきたことが、「横濱短篇ホテル」が私にとって ”掛け値なしの面白さ” の主な理由です。そのお陰で、時折ユーモアを織り交ぜながら、決して一本調子の物語展開にならない様な工夫が凝らされており、7話全てを退屈せずに最後まで観終えることが出来て、とても魅力に溢れ私自身が心から満足させられた観劇となりました。

オムニバス形式は本では見かけることがありますが、演劇では初めてだったのでとても新鮮な体験ができました。

5年ごとの短篇ストーリーと聞いて、主人公の奥山ハルコがずっと出てくるかと思いきや、選手が出てきたり、コーチが出てきたり、同じ演劇部のフミヨ目線だったり。でも、会話の中には必ず”奥山ハルコ“が出てくるので、ハルコがいなくてもそれぞれの関係が分かり、楽しく解釈できました。シリアスなのに笑えたり。終わった後は、たくさん笑ってスッキリしました!

鳴門例会カーテンコール

E-mailでのお問い合わせは、         鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。