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コルセット

劇団朋友公演

鳴門市民劇3月例会
 2023年3月15日(水)
 感想集


鳴門例会カーテンコール

人の生き方は、皆それぞれ違うし、その思いも違う。だからこそ、面白いのではないだろうかと思う。

現代の女性の働き方
 仕事と家庭の両立
 夫婦の理解、協力等多くの問題を提起してくれた作品だと思います。
 前の「人形の家」の現代版の様に思えます。
 女性を取り巻く環境や考え方はそう変わってないのかもしれません。
 役者さんの演技力もあり、素晴らしい舞台でした。

50歳代を迎えた二人の女性、それぞれの考え方、生き方、そして後悔がある。周りの人々を巻き込んで面白い話として展開していく舞台。面白くするために、余りにも仕組みすぎの感があり、面白かったわりには好感が持てなかった。主役を演じた今本洋子と水野千夏の2人、良い女優になったなと思った。

「コルセット」からどんな物語かと思っていましたが、下着メーカーで働く一人ひとりの物語がたくさんつまっていました。ベースに女性の生き方や人間性が思いがけない形で浮かび上がり、とても面白く深いお芝居でした。

ラストシーンが印象に残っている。社長として仕事一筋で生きてきた独身の芳美と家庭に入り妻として母として生きてきた久莉子。 それぞれに長所も短所もある。口では言い合いをしながらもそれぞれの良さを最後には認め合っていると思う。人それぞれに生き方があり違ってよいと思う。

2人の女性を取り巻く人間模様がリアルに描かれていた。こんな事ってあるあると共感しながら観た。男女問わず人は世間体や一般常識にとらわれるものだ。素の自分でいられる人がどれだけいるだろうか?自分をよく見せたいとちょっと無理をしたり見栄をはったりすることもあるだろう。そして、いつしか心に「コルセット」を着けることになる。現在も女性の働き方、生き方を考える取組がなされているが、それはまだ始まったばかりだ。
 多様な生き方に理解を示してくれているようでもあるが、まだまだ一部の心ない人によって傷つけられたりもしている。早く心の「コルセット」を外してそれぞれの立場を尊重し、理解し、認められる社会になってほしい。

舞台で演出されているストーリーの中に自分を写して共有しながら観劇することは私の生き甲斐でした。今回のお芝居も例外ではなく、今までの自分の生き方を振り返りながら楽しみました。
 確かに、あの時別の道を選んでいたら、今の自分は存在しないかもしれない。あの時…、「ある、ある」とつぶやきながらのひと時でした。
 八十路を生きる今、自分の歩んだ道筋を大切にしながら、一日一日を大切にと、しっかりと心に受けとめる思いを再認識するお芝居でした。とても、身近に感じ、心が温かくなりました。

今回も楽しく観させていただきました。劇中で「コルセット」という言葉はほとんど出なかったなぁと思いましたが、それぞれの人が抱え覆われている殻から脱出し、新鮮な空気を吸いたい気持ちが見えました。
 芳美社長がひとりで会社を盛り立て、頑張ってきた時間がコルセットそのもので、次第に分厚く、堅く、圧迫させてしまったのも自分自身だったのでしょう。コルセットを外せるのは素直な心なのですね。
 演技以外ですごく気になることがあり、ストーリーに集中できませんでした。久莉子さんが午後の時間を間違えて会社を訪れたシーン。昼間のはずなのに窓の外が真っ暗で夜中みたいだったし、その後もずっと黒のままで、装置を忘れてきたのかと心配になりました。

『コルセット』は、最後まで自分だったらどう動くだろう?どう感じるだろう?と非常に考えさせられる舞台でした。舞台の中で、「どうしてその企業で働くのか」という問いかけが最も印象に残っています。その企業が好きだから、お金のために…と人それぞれ目的がありますが、ふと自分を振り返ってみると、どうしてその企業で働いているのだろうと分からなくなりました。今、結論は出なくても、これを機に、「自分にとって働くとは?」ということを考えながら、過ごしてみようと思いました。

「コルセット」はとてもテンポよくて最後まで楽しく観劇させていただきました。
 若い頃の親友が全く違う道に進み、価値観の違いからすれ違いぶつかりあうが、究極の場面になると互いにかばい合い相手を認め受け入れるというストーリーにやけに共感しながら観ていました。
 年齢を重ねると歩んできた経験から考え方が違ってくるのは当然ですね。
 でも、気心の知れた仲であるからこそ理解し合えるというのも素敵です。
 若い頃よりもだんだん頑固になっていくってのはよく耳にしますが、どこまでも柔軟でチャーミングに年齢を重ねていきたいなぁなんて思いました。

コルセットを外せ! 思いのままに生きろ!
 波風を立てろ!
 あ~、ここで出てくるのかぁ~ と思いましたが、常識と思っていることが他人の非常識だったりすることもあり、自分の物差しで他人を図ってはいけないと思うものの、なかなかコルセットを外せないのも現状で…
 経験を重ねるごとに薄皮を一枚ずつはがしてはきていても、なかなかはがしきれない自分がいるなぁ~と考えてしまいました。外したはずなのに、コルセットがまだあったの?!と思わされた内容でした。
 年齢もドンピシャなこともあり、時には涙してしまいましたが、芳美のように今から更にコルセットが外せたらいいなぁ~、思いのままに生きれたらいいなぁ~と思います。

会社を立ち上げてから30年ぶりに再会した芳美と久莉子。久々の再会を懐かしむはずだったが…二人の今までの違った生き方、そして口論、さまざまな問題と色々な繋がりを持つ人間関係、それぞれの考え方の違い、おもしろくて笑いながら隣席の人に「これコメディ?」と言ってしまったほど…。
 久莉子の娘の婚約解消騒動、芳美と社員の恋愛、用務員さんの娘のことなどなど…これらを楽しみながら見ることができた。すべてのことが解決していったが、会社という閉鎖的な中での出来事に終わってしまった。
 「コルセット」とは、私たちをしめつけるコルセットを外して「自分らしく生きる」をテーマにした作品だったと思う。
 自由に生きることの大切さを会社内だけでなく、外に向けて、社会に向けて発信できればよかったなぁと思った。

女性用の補正下着が出てくる話なので、女性寄りのストーリーなのかな?と思いながら予備知識をつけずに見ました。最初から沢山の役者さんが登場して、それぞれのキャラクターを覚えられるか不安でしたが、一人一人にちゃんとスポットを当てて話が進むので無理なく楽しめました。
 ラストにいくにつれ、感情移入してしまい、誰が出てきても泣いてしまって大変でした(笑)。どの役も人間味があり、素敵なストーリーでした。

「コルセットを外せ」「思いのままに生きろ」「波風を立てろ」という言葉がセリフの中にありました。一度きりの人生だから思うがままに…と思いつつも、なかなかそのようにはできない私自身のことを客観的に眺めつつ、下着メーカーを立ち上げたお二人の今の年齢に近い年齢になってきていたためか、いろいろな感情を噛みしめながら、物語に共感しながら、楽しく観劇させていただきました。

舞台は下着メーカー「ワルキューレ」の講堂。「ワルキューレ」創立30周年記念のパンフレット掲載の対談の打ち合わせで会社を訪れた久莉子と社長の芳美は久々の再会を果たすも、二人の会話はやがて口論になってしまう。その上、久莉子の娘信恵が記念事業の商品開発担当デザイナーに選ばれたことから、プレッシャーを抱えて余裕が無くなってゆく娘を心配する久莉子。それが、信恵の婚約者岩清水の何気ない一言から信恵が婚約破棄を決心するに至って、信恵の幸せを願う久莉子と信恵にデザイナーとして期待する芳美は絶縁状態になってしまう。
 久莉子と芳美の考え方は両極端で相反するように見えますが、お互いの生き方に対する羨望の念も感じられます。今回のタイトルの『コルセット』。 
 後半、用務員の村田の責めの言葉に、それまで気丈だった芳美が泣き崩れる瞬間、コルセットが外れる音がしたような気がしました。その束縛に最も苦しんでいたのは芳美だったのですね。そんな舞台も最後は落ち着くところに落ち着いて、ハッピーエンドな感じで終わってよかったですが、信恵には二者択一ではない人生を送って欲しいと感じました。
 また、今回の舞台は登場人物が多くて覚えきれないと思ったのですが、信恵の婚約者である岩清水やチーフデザイナーの六本木など個性際立つキャラクターの存在が印象に残りました。2時間40分の長丁場でしたが、最後まで飽きることなく観劇できたのも、個性的なキャラクターのおかげだと思います。


(コ)「これが自分の選んだ道」って、胸張って言い切れる人がどれだけいるのだろう。「ワルキューレ」創立30周年パーティーで再会する芳美と久莉子。社長で金持ちで独身の芳美と結婚して娘の母となった久莉子は、久々の再会を懐かしむどころか、お互いの意見の食い違いで喧嘩別れになる。生きる場所が全く違った二人。取り巻く環境が違うと、こんなにも考え方の違う二人になるのか。物事の見方や考え方は、どうも環境に左右されるらしい。
(ル)るんるんでお気楽に生きてきた私。本人は周りに迷惑を掛けたつもりはないが、どこかできっと誰かを傷つけてしまっていたんだろうなあ。二人の心の行き違いを見ながら、ふとそう思った。芳美と久莉子がそれぞれに自分自身で選択し歩んできた30年の歳月は、今のところ全く折り合わないけれど、どちらの道も夢にあふれ、それを追いかけ、努力してきた道に違いない。早く、仲直りしないかなあと思いつつ、舞台を見ていた。
(セ)切なかったのは、用務員の村田さんが大工道具を手に社長の芳美に襲いかかろうとするシーン。そして、娘を不憫に思う余りの村田さんの奥さんの苦情の電話。社長と社員、気持ちの行き違い(すれ違い?食い違い?)は、どんな場面にも起こりうるし、誰にもあり得ることだし、でも、お互いに傷つく。特に立場の弱い者が余計に傷つく。百恵が自分の気持ちを吐露できなくて引きこもった気持ちも想像できるし、社長としての芳美の言葉が部下を叱咤激励するつもりできつくなったことも想像できる。切ないなあ…
(ツ)辛くともキツくとも、社員のため、会社のためと突き進んできた芳美の30年。でも、心にちょっと寂しさを感じる52歳。実は今、20歳年下の自分の部下との恋に悩む乙女だった。「恋に年の差なんて関係ない!」と言い切る広報の阿部君、素敵!
(ト)ときどき出てきては笑いを取る、デザイナー信恵の婚約者、石清水。彼の几帳面で融通の利かないところがとてもいい。真面目で心温かな彼の存在は、芝居の中の役者達にも、観劇している私達にも、リラックス効果抜群だった。眼鏡の下の口元がいつも笑っていて、こちらをホッとさせてくれる。いいキャラだ。
 さて、感想文のまとめだが、今回の作品は、我が身を振り返るいい機会となった。退職後、のんきに生きてきた私だが、まだまだ自分にできることがあるのではないか、と気づかされた。周りに私の手を必要とする人がいるなら、私は喜んで自分の手を差し伸べようと思う前向きな気持ちになれた。

50を超えて還暦も近くなり、自分の人生を少し振り返る気持ちになった。人生の選択は間違ってなかったと思うし、今の自分に満足している。けれど、若いときのもう一つの選択肢の道を選んでいたらどうなっていたのかなあと、ふと考える自分がいた。

上司から怒られるとパワハラで訴えるということが、現実にあるが、苦情の電話をかけることでやり場のない気持ちを表すことなど、現代社会の風刺のように感じた。服を着ると、下着は見えないものなのだが、下着に人生をかけ、着る人に華やいだ気持ちを持たせようとする姿に感動した。
 会社のために厳しくする社長とそれに耐えられない社員の両方の気持ちが理解できた。
 令和の時代では、結婚した後も共働きすることが多く、昔の考え(女性は家庭に)は今の社会に通用しないのになと思った。

キャリアウーマンとして社長にまでなっている独身の女性と家庭に入り専業主婦として夫を支え、娘も育ててきた女性を対比させながら、「女性の生き方」を考えさせる物語でした。二人は、下着メーカーを共に立ち上げたパートナーであったり、娘が社長となったパートナーの下で働いていて、仕事と結婚についても悩んでいるなどの設定が、より一層「女性の生き方」を考えさせるうえで功を奏していたと思います。面白く観ることができました。

今回のコルセットはとっても楽しかったです。「コルセット」は隣の芝は青い、を地でいくようでしたね。一生懸命に考えて決めた人生でもやはり自分に無い所を羨ましく思ったり、それにしても旧友の息もつかせぬ掛け合いは素晴らしいですね。一気に場が盛り上がって大爆笑です。心の中で静かにですが!!
 他の人も個性豊かな役の方達ばかりで本当に楽しい劇でした。デザイナーの六本木さんも私的には大好きです♥
 徳島公演にも行きたいくらいだったのですが都合がつかず少し残念です。

今回の劇を見てとても共感しています。なぜなら私も女性の多い職場でそこで一生の友と出会い共に悩んだり励ましあったり時には、意見が合わずぶつかりあったりもしました。お互いスタート地点は同じでも、道はそれぞれ違っても歳を重ねて、又お互い理解しあえる、無くてはならない存在になっています。この登場人物達もきっとそうだと思います。

公演前日の国家試験セミナーで、BCP(事業継続計画)が課題となり、身に詰まされて受講。 当日の芝居では、まさにBCPとマネジメントの課題と問題が提起される。窓際に追い詰められた女社長:芳美と、彼女をかばい立ちはだかった元創業者で親友の久莉子。女性の人生、来し方行く末以外でも、いろいろ考えさせられた。いい芝居を、そして、熱演を、どうもありがとうございました。

この度の例会は担当に当たり、お出迎え、搬入そしてロビーの後始末迄携わりました。お芝居はコルセットに関する物語ではありましたが、企画→製品化→販売→管理。クレーマーも登場し製造業の流れを細かく見せてくれました。(意味は違いますが、私たちはP計画・プラン→D生産→C検証→A次に向けて行動のサイクルを回せと教えてもらいました。)10年間に渡り営業畑を歩んできた私には当時を思い出すには十分でした。特に「営業は愛嬌と打たれ強さ」また「時代は流れている。時代とともに変化を恐れるな。」苦しかったとき、楽しかったときのことを、お芝居を観ながら思い出していました。
 舞台の左右の椅子の数を知っていますか?7脚と9脚でした。では、なぜ、あんなふうに配置したのかわかりますか?わたしの見解ですが、固定された場所を持たない気ままな立ち位置を作れる。そしてお芝居は自由な形で演じることができるとの判断と思っています。

鳴門例会カーテンコール

客席からの歓声を背に各々の役者が舞台の袖へと消えて行くとともに、私の心に沸き上がってきたのは「あ~っ、ごっつうおもっしょかった!」でした。これが、今回の演劇(コルセット)を観終わって、私の脳裏に一番初めに浮かんだ感想です。開演から終演までの約3時間近くの間、くすりと笑ったり、ニヤリとしたり、あるいは身につまされる思いで考えさせられたり…、役者のセリフや演技のひとつひとつに私は「うんうん」と頷きっぱなしでした。つまりは、還暦もとうに迎え過ぎ去った私ですが、それでも残りの人生を歩んでゆく上で、今後の私自身の人生というものを改めて色々と考えさせられた舞台でもあったのです。
 さて、此度の演劇タイトルである「コルセット」の意味を、最初は個人個人を縛る世間の目や体裁(世間体)、同調圧力、各々の立場での型にはまった振る舞いの強要等々と、舞台が始まるまで私はそんな先入観に囚われて思い込んでいました。しかし、劇を観終わって、最初の頃に抱いていた思い込みは見事に当てが外れ、空振りの結果に終わったという思いを、私は抱くことになりました。 そこで、改めてこの劇中での「コルセット」の意味するところを考えてみると、それは当初私が思い込んでいた「外的圧力(外圧)」ではなく、各々自身が自ら作り出して己自身をその自身が作り出した型にはめ込み縛り付けようとする、自分自身による自分自身への「内的圧力(内圧)」に他ならないのではという結論(自説)に至りました。
 もちろん、その「内圧」が形成されるにあたっては、「外圧」である世間の目や生まれ育って行く中で持ち得た価値観や願望等々が強く影響しているのは言うに及ばずと思います。
 他方、私が定義する所での「内圧」を形容する「コルセット」ですが、それでは広義の意味での「コルセット(「外圧」+「内圧」)」を外した生き方とは、どんなものなのでしょうか?例えば、「コルセット」を外し去った完全に自由気ままな生き方を想像してみると、それはそれで周囲との軋轢や摩擦を生み出すと考えられますので、決して真の意味での自由な生き方は出来ないと思います。
 となると、ある程度は「コルセット(「外圧」としての社会的ルールや「内圧」としての自制心等々)」があっての自分自身と他者との良好な関係が築けるのではないかとも考えることが出来ると思います。つまりは、死ぬまでこの「コルセット(社会的ルールや自身に内在するありたい姿や規範等々)」を外すことは出来ませんが、自身を取り巻く時代や状況に合わせて、自分自身で「コルセット(内圧)」の紐を緩め、逆にキツメたりしながら、各々の状況下で自分自身が快適に動ける丁度いい塩梅の締め具合を都度調整しながら、生きてゆくのが最も望ましいのではと考えさせられました。それと同時に、そのことが各々の個性を認め合った多様性の容認に繋がるのだとも感じ取りました。
 それでは、ワルキューレを創設した二人の主人公の生き様と劇タイトルの「コルセット」がどの様な写し絵となっているかを、私なりの考えを紹介したいと思います。
 先ず、本劇中での主たる人物である芳美社長についてです。芳美社長が、社員の生活を守るため、そして会社を大きく成長させるために心の余裕をなくしたことが、かつて社員であった百恵さんへの強い叱責(パワハラ)として現れたのは、芳美社長自身の描き出した典型的な「社長」という「コルセット」によるものだと私は理解しました。ですが、そうであっても社員である人一人の人生を台無しにするような結果を招く行為は、やはり許されるべきものではないと考えます。ただ、社長自ら直々に百恵さんの自宅を訪れ謝罪を行ったことは評価に値する行為と私は考えるとともに、そこに芳美社長への一抹の救いを見た気がしました。また、百恵さんの父である用務員の村田さんの芳美社長に対する怒りと憎しみの行為も決して行ってはならぬことであるものの、心情としては私も十分理解できるところもあり、その立場を思うとやり切れなさを強く感じました。
 一方、もうひとりの創設者である久莉子さんですが、会社を創設後に結婚・出産を経て、芳美社長と袂を分かちあうようになったことで、彼女もまた「主婦」という「コルセット」を身にまとう事になったのだと想像しました。そのことで、久莉子さん自身の平凡ながらも日常のささやかな幸せを勝ち得ているものの、その一方で事業を大きく成長させてきた芳美社長のエネルギッシュで華やかな姿が眩しく、もし事業に留まっていれば久莉子自身も持ち得たかもしれない芳美社長の姿が、内心では後悔と嫉妬の対象ともなったのではと思いました。
 この様に互いに異なった「コルセット」をまとう事で、その個々の「コルセット」に合わせた生き方を強いられるようになったのだと思います。そのことで、互いに得たものがある反面、表面的にはおくびにも出さないものの、相手が持ち得ているもので自身が持ち得ていないものに対する強い渇望感が互いに心の中に渦巻いていたのだろうとは想像には難くありませんでした。
 その心理的な面を推測すると、おそらく人生で上手くいっていない時や焦燥感や不安感に駆られている時の人というものは、とかく他人の自分自身にない部分に羨望を抱くものということに起因しているのではないかと考えました。その理由は、他者から見ての人生の成功者として順風満帆と思える他人の人生のその裏側には、おそらく人知れず努力した積み重ねとその過程で生じた悩み、それとは別に自身とは違うものを手にしている他者の人生を羨む感情などとが複雑に交差しているものと思うからです。ということは、おそらく芳美社長と久莉子さんはともに現在の自身の人生に対して満たされない何かを持ち合わせており、そのことで自身のこれまでの人生で捨てざるを得なかった別の選択肢への未練や後悔等が湧き上がって、その捨てざるを得なかったもう一つの人生を失った喪失感に陥っていたのではないかと私は想像したのです。
 しかし、その一方で誰もが人生は常に取捨選択の連続で、誰一人として「選択しなかった別の人生」を歩むことは出来ないのも事実です。ただ、その選択には正解も不正解も無いという事は頭では分かっていても、人は常に得たものよりも失ったものに目が行きがちとなり、時として人は無い物ねだりに陥りがちになるのは、私自身の今までの人生経験を振り返ってみて、納得をせざるを得ないのもまた事実です。つまりは、人の一生での「得た人生」と「失った人生」とは、正に表裏一体と言うべきものと私は捉えています。それは、自分自身が弱っている時や不遇な時ほど特に「あの時に別の道を選んでいたら…」等々の「もしだったら症候群(or タラレバ症候群)」にさいなまれるものだからです。
 そこで、そんなあんなと言った経験を経て還暦もとうに過ぎた私としては、人生は100%思い通りには行かないのが常で、大体が70%上手くいけば上等という気持ちで、通常はトントンで過ごせれば「御の字」との思いで残りの人生を過ごそうかなと、今回の観劇で改めて思い起こした次第です。そこには、過ぎ去った過去を悔やんでみても後戻り出来るわけでもなく、これから訪れる未来を憂えてもそれが実際に起こり得るという確証も無く、ということは今現在をそんな痛恨や憂いと上手く折り合いを付けながら、生きてゆくしかないという一種の諦念の様なものが必要なのではないかと思いました。言うなれば、自分自身の機嫌を取れるのは、結局は自分自身しかいないという事だと、ある意味において私自身を誤魔化しつつ宥めつつ、歩んで行くしかないのだと思います。

コルセット、十分見ごたえはありましたね。自分では会社勤めもしたこと無く今日に至っております。想像で厳しいものだとは思いますが、自分には仕事と家庭の両立は無理でしょう。皆さん、女性としてご自分の生き方を顧みたことでしょう。

同じ道を一緒に歩いていた二人が突然、全く違う別々の道を行くことになり、それから数十年後再会をするが、認め合いつつも、素直になれず感情をぶつけ合いそれでも最後には、以前の二人に戻ることができた。とても面白かったです。

仕事を選ぶか、家庭を選ぶか。
 最近結婚した私には考えさせられる内容だとは観劇前からある程度予想はしていました。それぞれに良さがあるということはもちろん、それぞれに苦悩がある点本当にリアルに描写されていて、見入ってしまいました。
 個人的に今までは仕事だけしていればよかったですが、家庭にも手を抜かず、改めてそれぞれに優劣はなくともに幸せを感じていければいいなと思いました。

幸か不幸か。不思議と「あのときああしていればよかった」とか「若い頃に戻りたい(やりなおしたい)」とか思うこともなければ、違う人生の送り方をしている人を羨ましいと強く思うこともない人間である。でも、だからといって(当然)自分の生き方に揺るぎない自信をもっているわけではない(むしろ、控えめ…)。ということは、私は単に諦観が強いだけ?かもしれないなあ~。そんなことも思いながら主人公の2人のやりとりを見ていた。でもきっと、この2人も含めて誰しも似たり寄ったりで、自分の中で「自信・自負と悔恨・諦観」は常に紙一重の感情なんだろうな、そんなことも思った。だから、自分のことも自分ではない人のことも認め受け入れるのが穏やかな心持ちには必要だけど、でも、そんな”いい子”の感情だけでは抑えられないとき、そのときは、この2人のようにばーって吐き出し合うのも人間らしくていいじゃない、そこは(なかなか自分にできないので、それこそ)うらやましい友達関係だなと思いました。
 この劇で良かったところは、一応主人公とされている2人の女性にのみスポットがあてられていたのではなく、会社という組織の中のさまざまな立場のひとたちの関係などがうまく凝縮されて描かれていたこと。現役で組織の中で働いていたとき、当然、「部下」であったことも「上司」であったこともあったし、今は普通の風景である(やはり少し価値観が異なることが多い)外国人と一緒に働くときの戸惑いなども経験したし、登場人物それぞれが遭遇する場面や気持ちに心を寄せることができて、その点でもとても楽しめた。キャッチフレーズから想像していたことを超えた気持ちよさを感じながら観終えることができました。

女性同士の友情や人生の選択を描いた、キャラの濃い登場人物が繰り広げる物語は「マグノリアの花たち」を思い起こさせますが、「コルセット」は会社の中の出来事なのでリアルに受け止めることができました。ユーモアのあるセリフによる笑いの要素やクレーム電話の真相などサスペンスの要素もあり起伏のある楽しい舞台でした。 大きなことから小さなことまで「人生は選択の連続」であり、「あとで後悔しないように」選びたいと思ってきたし、今も思っているのですが、実際は「あの時ああしていれば」とくよくよしたり、「別の選択をした人をうらやんだり」とかして、あとで後悔しないなんてことは無いですよね。
 「コルセット」主人公の2人の女性も同じなのですが、両者ともに葛藤はあるものの充実した幸せな生活を送っている中で、久しぶりに出会ったことで色々な感情が交錯して、それが表に出る様子が興味深かったですし、役者さんがうまいなと感心しました
 そもそも「後悔しない正しい選択」なんてものは無くて、その時に最も良いと思う選択を自分ですればいいのだ、という力強いメッセージを感じました。

劇が始まると下着メーカーの会議室を舞台に、会社でよくある仕事上の出来事や会話が繰り広げられていきます。 コルセットに関するプレゼンも冒頭にあり、劇の題名を意識させるもののこの劇の最後はどうなるのか、何が起こり、何が解決されるのか 前半が終了しても、この劇の本質が何なのか全く私にはわかりませんでした。そのため、劇の中の物語に引き込まれることも途中までは全くありませんでした。
 下着メーカーを立ち上げた二人の女性、やがて別の道を歩みます。一人は会社を大きくさせることに邁進し、もう一人は会社を離れ家族の幸せを大切に生きてきました。その二人が久しぶりに再会したことをきっかけに、これまでの人生について考えていたこと、時々思っていたけれども抑え込んでいたことが二人の会話、そして二人を取り巻く出来事によって徐々に抑えきれなくなっていったようです。
 コルセットは、体形の補正に役立ちますが、長く着用していると体幹を支える筋力の低下につながるそうです。 大切にしてきたことを守るため、知らず知らずのうちにまるでコルセットのようにがんじがらめになって生きてきた二人が、紆余曲折を経て お互いのコルセットを取り外し、人生の体幹を取り戻すきっかけになった結末だったと思います。
 この劇の主題は、観ている者に「あなたの人生のコルセットは何ですか?そしてあなたの人生の体幹はどう?」と語りかけていることなのではと感じました。


・人生に対する若い頃の思い。熟年となって更に貴重に感じる生き方への思い、感情」等を自然に考えさせられるいい劇であった。現在会社組織の日常活動ぶりが前向きに、明るくたくましく描かれていて、多様な人物の考え方、一つ一つの出来事や気遣いが少し懐かしく、むしろ新鮮さを感じた。
・芳美と久莉子の古い信頼と友情の中にも「使命感」と「幸福感」をめぐり、微妙な羨望と嫉妬が生まれ、「ワルキューレ」の新製品開発過程を背景に多様な人間関係が進行する。千晶からは若い情熱使命感が、上司指導の厳しさ、周囲の協力の仕方、岩清水のギコチない人の好さも面白かった。大勢の若い俳優たちで活気があった。最後は開発も結婚もめでたしめでたし。
・人生は選択の連続であり、その選択があったからこそ、出会いがあり、今がある。あなたは無理なコルセットを纏っていませんか?…に対して「コルセット」をどう外せばいいのか? 過ごしてきた自分の過去に対してはすべて受け入れる。今ある自分と周りの状況をさらに良くなるように責任を果たし、次の世代に引き継いでゆく。最も大切な宝は過去から今後への信頼できる友人と周囲の仲間たちではないか…などと思わせる舞台ではあった。

今日のは本当に良かったです。
 数年ぶりに最初から最後までしっかり観ました。
 コメディタッチで女性の生き方 すなわち男女差別 また仕事の大変さなどきっちり描いていました。たくさん出演していましたがそれぞれ個性があり楽しかったです。

鳴門例会カーテンコール

ここから今例会でボランティアを努めた徳島北高校生の感想

年齢や性別に関係なく、全ての人に刺さる物語でした。始めは少し難しい話かな?と思っていたけど、分かりやすくてとても面白かったです。
 初めて、自分から劇を観に行きましたが、次も観たいと思いました。

感情的な場面では、観ている方まで息をのむ程伝わってくる気持ちがあって、凄いと思った。様々なキャラクターがいて、見ていてとてもおもしろかったし、それぞれの登場人物の考え方に違いがあって、学ぶこともあった。またこのような機会があったら、観に行きたいと思った。

まず、こんなにも声を大きく、会場中に響き渡らせることが出来るのかととても驚きました。私は2階席で見てたんですが、そこにいても迫力がすごくて圧倒されました。最初に女性下着会社(ワルキューレ)内での話では、新しい下着を作るまでにはこれほどの大変な労力があるのだと改めて感じました。
 一番印象に残ったシーンは、信恵が社長に必死で考えた案をことごとく否定されて、もう自信がなくなってしまったうえに、社長から強く刺されるシーンです。そこが自信のない自分と重なってすごく辛かったです。その後の普段優しい用務員の村田さんの爆発もあって、すごく泣いてしまいました。でも、それぞれ出てくる人が、一生懸命やっているからこそなんだということも伝わってきました。最後ハッピーエンドで良かったです。

生でお芝居を観たことがなかったので新鮮だった。信恵に強く言葉を言う芳美の鬼気迫る演技が印象に残っている。

家庭を選んだ女の人と、仕事を選んだ女の人の対比が答えのない正解を追い求めている気がして、むしゃくしゃしました。社長が泣き叫ぶところを見て、心がジーンとしました。会社を守っていかなければいけない責任感と重圧で、強そうに見えても弱いんだろうなと思いました。自分にも当てはまるところなので、弱い人の気持ちが分かります。優しく言えるように心がけたいと思いました。用務員のおじいさんには幸せになってほしいです。

登場人物は多かったけど、一人一人個性があって、印象に残っています。特に村田さんが良かったです。主人公が悩んでいるときに現れて、助言したり、いつも工具箱を持っていたり、クレームの電話が何回もかかってきていたり、娘さんの話が出てきていたり、たくさんの伏線があっておもしろかったです。村田さんが怒り出したとき、来たぜと思いました。社長も良かったです。私も社長が好きじゃなかったです。なんとなく最後まで好きじゃありませんでした。観ている人に好印象を与えるのは割と簡単なことかもしれませんが、嫌いにさせるのって、難しいと思うから、すごいと思いました。

私は舞台「コルセット」を見て、性別に囚われない主人公の考え方にとても魅了されました。女性だから仕事を任されるのはおかしい、とか女性は結婚することが幸せ、など、沢山の差別が劇中でも出てきましたが、その度に前に進もうとする女性の方々を見て、私もそのように自分の意思で行動ができるようになりたいと思いました。個人的に、主人公が年下の男性からプロポーズされている場面がとてもキュンキュンしました!自分も魅力的な女性になれるように自分磨きをしていきたいと思います!

楽しかったです。あいさつをしたら返してくださるお客様もいて、すごく嬉しかったです。

一番すごく思ったのは、人のために働くのは本当に素敵な事だと思った。運営をしている中で、「頑張ってね」などと声をかけてくれる人がいて、すごくうれしかった。

水野千夏さんと今本洋子さんのインタビューは、話を聞いていて、お二方がほんとに楽しそうにお芝居をされているのが伝わってきて、とても良かったです。

最後にポンポンを「ありがとうございました」と言いながら回収するとき、観覧者の人達の顔がよく見えたのが良かったです。ほっこりした気持ちでした。

大勢の人の前でアナウンスするのは緊張した。しかし大切な仕事だと思い、やりがいがもてた。

インタビューを見てて、お芝居が本当に好きなんだろうなと思いました。お芝居をする側も見る側も一体になって作りあげている感じがしました。

アナウンスは、練習もしていたので、緊張しませんでしたが、アドリブには弱いです。でもたくさんの人の前で読めて良かったです。
 インタビューも舞台の前に出来て良かったです。役者さんの印象が全然違っておもしろかったです。
 ポンポンするの楽しかったです。

初めて舞台でのボランティアをして初めは自分に何ができるのだろうと、不安の気持ちでいっぱいでした。しかし、いざボランティアが始まると、大人のボランティアの方々が丁寧に優しく教えてくれて、すぐに不安も消えて、楽しくボランティアをすることが出来ました。お客さんに挨拶をすると、たくさんの人が挨拶を返してくれたり、「頑張ってるね」「ボランティアありがとう」など、優しい言葉を沢山掛けてもらい、とても心があたたかくなり、私にも出来ることがあるのだなと自信が湧きました。人と関わる仕事にも興味が湧いたのでこれからはもっと視野を広げて将来のことを考えていきたいです。


E-mailでのお問い合わせは、        鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。