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鈴木ほのかさんに演劇直前インタビュー

楽屋訪問36

俳優座劇場プロデュース公演「音楽劇 サマーハウスの夢」鳴門例会(2009年9月24日)で“ベル(美女)”役をされる鈴木ほのかさんを公演前に訪ね鳴門市民劇場がインタビューしました。

鈴木ほのかさん
鳴門市民劇場(以下鳴門と略)
:鈴木ほのかさんには11年前に『デュエット』5年前に『花よりタンゴ』そして今回の『サマーハウスの夢』で3回目の来鳴となられるんですね。
今日の舞台が『サマーハウスの夢』の四国での最終日になりますが、各地の反応はいかがでしたでしょうか?
鈴木(敬称略)
9月9日から移動し、9月10日の高知から始まりまして、ほぼ2週間の旅でした。今日が最終日なのでみんな燃えております(笑)。昨日の徳島でもとても喜んでくださいましたし、四国のお客様はエネルギッシュで明るく、お芝居を楽しもうという方々が多いと感じました。東京でも無いような手拍子や拍手をいただいたりしますし、役者を乗せるのがとてもお上手ですよね。
鳴門
『サマーハウスの夢』はアラン・エイクボーンのシチュエーションコメディと聞くだけで、とても期待が膨らんでいます。この作品の見どころをお聞かせ下さい。
鈴木
今回の作品はアラン・エイクボーンのかなりブラックな風刺劇になっています。普通の生活をしている現実の空間へ、絵から飛び出した美女と野獣が現れるだけでも、視覚的におもしろい舞台になっているのに、お伽の国から出てきた彼女らは歌でしか会話ができないんですね。そのために、みんなが七転八倒しながら歌うという非常におもしろいコメディーとなっています。ただ、アラン・エイクボーンの作品は裏がしっかりしていて、裏には大きなテーマがありますから、一度考え出してしまいますと笑えなくなってしまうんですね。なので、これはイギリスのウィットの富んだコメディーですので、細かなことは考えず、皆様には是非笑っていただきたいと思います。普段着よりもカジュアルな衣装のロバートとメルがいれば、ベルとバルドマーは、このまま外を歩くと捕まりかねない時代錯誤の衣装ですし、衣装合わせの時は『これはどんなお話なんだろうね』と出演者自身も笑ってしまうような舞台です。また、歌の量も多いので、音楽的にも楽しんでもらえると思います。セリフを歌で歌うことは、ひとつのアリアを歌うより難しいんですね。まず、練習を始める時に、私達は、音をとるところから始めたのですが、皆さん非常に苦労をされていました。舞台でのベルと会話をするために一生懸命歌っている現実の世界の人達の姿と、練習風景がオーバークロスして、おもしろいことにそれが役作りに役立っているという状況でしたね(笑)。
鳴門
現実世界の住人の歌うセリフも決められた音符があるんですか?
鈴木
セリフの歌も全部スコアが書かれています。『わたしはね〜♪』(音を外して)というように、自分で勝手に音階を付けている設定のセリフにも全てスコアがあります。普通の会話の中に音楽を入れるのは非常に難しいんです。カウントが少しでもずれると流れが崩れてしまいますからね。また、ベルは歌でしか表現できないのでセリフが聞こえてはいけないんですね。『ベル』って呼ばれても反応してはいけないんです。セリフのない時のベルはどういうリアクションとればいいのかを、演出家と初演の時からずっと話合ってきました。今になって随分落ち着いてきましたが、まだまだチャレンジできることはあるなと思っています。
鳴門
そういうチャレンジを繰り返されているということは、初演の時と内容も変わっているのでしょうか。
鈴木
大きくは変わることはないですが、笑いの部分をもう少しシリアスにして、お芝居の部分を深めたりする工夫はしていますね。
鳴門
『美女と野獣』のベルとは少し違う『サマーハウスの夢』のベル、鈴木ほのかさんが考える彼女の魅力とはなんでしょう?
鈴木
『美女と野獣』のベルに比べて『サマーハウスの夢』のベルは非常に出来が悪いんです。お父さんを見捨てて、野獣から逃げてきちゃうんですから(笑)。でも、その出来の悪いベルは現実世界で、愛情や友情、いろいろなことを観て感じて成長していくんです。メルがロバートを好きだと歌う場面で、ベルも自分の心に気付きます。そして、バルドマーの荒くれた姿の中に、彼は自分を必要としていることを知り、そのままの姿のバルドマーを愛するという、より出来のいい美女になって、お伽の世界に帰って行きます。そこが彼女の魅力だと思います。
鳴門
ベルのチャーミングな仕草が印象的だったのですが、何か工夫をされていますか?
鈴木
物語が進むにつれて、人間的な動きを取り入れるようにはしています。ただ、お客様の想像力ほどすばらしいものはないので、皆様の心の中にある『美女と野獣』のベルを壊さないように気を付けました。
鳴門
登場した頃のとぼけた感じのベルはとても可愛いですよね。
鈴木
自分で言うのもなんですが、実際に天然なので、そんなに無理はしていません。自分の資質を入れ込むように演じていました(笑)。
鳴門
余談ですが、鈴木さんのご出身は愛知県の尾西市ですよね。私は春日井市なんです。
鈴木
そうなんですか!!お隣なんですね。今は、尾西市は一宮市になってしまいましたが。
鳴門
愛知の方は堅い方が多いというイメージですが……。鈴木さんは、何でまたこの世界に入ろうと思われたのですか?はやり高校時代に演劇や歌に出会われたりしたのでしょうか?
鈴木
昔はそうかも知れませんが、最近はそうでもないかもしれないですよ。マリナーズのイチローもそうですし、一路真輝さんや、竹下景子さんもそうですし、名古屋出身の芸能関係の方も多いようです。私は父が名古屋フィルハーモニーでチェロを弾いていまして、母もコーラスをしていたり、音楽的には理解のある家庭でした。高校時代に中日劇場でいずみたく先生の舞台『俺たちは天使じゃない』にとても感動し、『私も人を感動させる側に行きたい』と思ったのがこの世界に入るきっかけです。そして卒業後、いずみ先生のところで勉強を始め、劇団に入り、『レ・ミレザブル』のコゼットのオーディションに受かったことが、私の人生が変わった第一歩だったと思います。
鳴門
コゼットもかなり長いこと演じられていますよね。その後は母親役のファンティーヌもされていますよね。
鈴木
そうですね。4年ずつやりました。その間に『回転木馬』のジュリー、『ミス・サイゴン』のエレンもさせていただきました。
鳴門
『マンマミーア』の主役もされていますよね。
鈴木
ええ、ドナ役ですね。
鳴門
今年の博多座ではミス・サイゴンのエレン役を573回演じられたとか。こんなにも長期に渡り同じ役を演じるのほどのような気分なのでしょうか?
鈴木
やはりいい作品は、ロングランに耐えうる作品であり、役であると思います。森光子さんの『放浪記』ではないですが、自分の人生の経験を重ねて行くほどに、台本の奥深さを感じます。未だに、このセリフはここと繋がっていたんだなという発見があります。豊かな作品だと、如何様にも学ぶことがあるのだと感じます。
鳴門
鳴門の会員は音楽がとても好きです。ぜひ歌を歌うに当たりアドバイスをお願いします。
鈴木
そうですね。地球と宇宙を味方にすることだと思います。最後に米谷さんと一緒に歌わしてもらう場面ですが、自分では苦しい音域でも米谷さんのような方と一緒にブレスすると不思議と歌えちゃうんですね。なので『地面に立って地面からの力を利用して宇宙と交信する』ことを心がけています。
鳴門
幸夫人のようですね(笑)。
鈴木
おもしろい方ですよね。ちょっと似ているのかもしれないですね(笑)。上手く言えないのですが、劇場を飛び出して歌うという表現が当てはまるかもしれません。ベルがこの世界に来た時『夢じゃないわ〜♪』と歌うときは、実際には劇場の中の暗闇で歌っているのですが、劇場の中に納まってしまわないよう、夜の綺麗な星空の下で歌っている姿をイメージして歌うようにしています。
鳴門
鈴木ほのかさんのこれからの活動等、お聞かせください。
鈴木
まだ、公表できないのですが、近々ミュージカルの舞台で皆様にお会いできる日を楽しみにしています。
鳴門
私たちのような演劇鑑賞会の活動について、考えられていることがあればお聞かせください。また、鳴門市民劇場の会員に一言メッセージをお願いいたします。
鈴木
11年前に鳴門に来た時は鳴門公演が立ち上がったばかりの頃だったので、とても活気があったのを憶えています。今はこんな時代だからこそ、市民劇場の皆様と私達で文化を盛り上げていかなければならないと、四国を回らせていただいてひしひしと感じております。市民劇場の皆様が、私達のお芝居を選んでいただいたことも非常に嬉しく思っております。その期待に応えられるよう、すばらしい作品をお届けできるようこれからも頑張っていきたいと思います。
鈴木ほのかさんとインタビューア

E-mailでのお問い合わせは              鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。