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「てけれっつのぱ」ロビー交流会

2011年1月24日(月)
市民劇場会員
てけれっつのぱ出演者のみなさん
阿部敦子さん 佐々木愛さん 有賀ひろみさん 津田二朗さん
制作
制作 中山博実さん 役者が出てくるまで、少し話をしたいと思います。今回の公演、残すのはあと徳島と阿南のみになりました。ありがとうございます。このあと2月には北海道へ行き、今年は1年で120公演やります。来年もいくつか決まっていて、全国を回ります。そのスタートが今回の四国です。
昨年は、関越ブロックに行き、群馬、埼玉、新潟、宇都宮を回りました。また、5月はトルコに行きまして、3都市で6公演やりました。
トルコでの舞台装置は現地作ってもらったのですが、人力車は、馬車を作っている会社にお願いしました。日本の家屋、特に障子などが、トルコでうまく作れるかと心配しましたが、出来上がったものはほぼ日本と変わらないものでした。
今回1幕目、江戸の場面で、あや乃の家にあった石灯篭は、トルコで作ったものなんです。
このあと北海道公演では、原作者の蜂谷涼さんが一緒に回ってくれます。原作は5編のオムニバス形式でして、今回はそこからチョイスして構成しました。ですので、原作には芝居になっていないエピソードもあります。ご興味があれば本を読んでみてください。
●津田二朗さん登場
津田
「諸悪の根元、別所」をやりました、津田二朗です(笑)。 女優さんたちが来る前に、ざっくばらんに感想など言っていただけたら...。予行演習しておきますか(笑)
司会
感想はありませんか?
津田
津田二朗さん 僕は敵役ですからねえ(笑)。あの時代、明治維新後ですが、日本の礎が築かれた時代で…。今回、妾や本妻が出てきて、若い人にはわからないこともあったかもしれませんが、昔は民法で「お妾さん」も認められていたんですよ。
会員
前回文化座さんが来てくれたときの例会「天国までの百マイル」で会員になりました。あの作品では、ダメ人間の安男が前向きに生きるようになり、今回も、あや乃さんがそんな風で…。また、「天国までの百マイル」の車と、今回のリヤカーがダブって見えました。共通点があったように思いました。
津田
そうですね。どちらも「共生と再生」が描かれていて、かぶっているところがありますね。
会員
「てけれっつのぱ」はどういうことですか?語源などはありますか?
津田
「死神」という落語の中で、死神を追い払う呪文の言葉です。困難を追い払う言葉ですね。劇中では、特にロビンなんかは、混血児で、あの時代では迫害を受けていたため、呪文によってそういう困難を追い払っていた…というわけです。それを、「きし屋」の人たちがいろんな困難に出会うたびに、再生のときに、いわば自分のけじめとして、口にします。落語の「死神」はいろんなところでやってますから、またきいてみてください。厳密に言えば仏教用語なんですかね。「奇妙奇天烈」なんて言葉もあり、そこから来ているという説もあるようです。
会員
阿南から来ました。2008年の企画交流会のときに、文化座さんがそのときはこれとは別の作品を持ってきてくれたのですが、その際、「10月は『てけれっつのぱ』をやります」とおっしゃって、すごく印象に残って、後日、電話でその作品のことを尋ねたんです。そうしたら本を送ってくださり、読みました。ぜひ例会によびたいとその時から思っていまして、今実現しました。とても嬉しいです。また「再生」がテーマの作品で、今の阿南市民劇場にとても勇気をもらえました。役立ちました。ありがとうございます。
津田
劇団と演劇鑑賞会は一緒になって…共生して助け合っていかないといけないと思っています。私たちは、明るく元気が出る芝居をやって…、それで自分たちも幸せになっています。僕は今回薩摩の人間をやりましたが、実は山口、長州の出身で…(笑)。これから東北公演もあるのですが、いわゆる会津ですよね….(笑)。
●女優さん3人登場
司会
お疲れのところ、どうもありがとうございます。では改めて。お名前と役どころのご紹介をお願いできますか。
阿部
阿部敦子さん あや乃役の阿部敦子です。2年ぶりに邪魔しました。今日は広い会場で、客席からはどうだったでしょうか。感想をお伺いしたいです。
佐々木
セキ役の佐々木愛です。
有賀
「本妻」でございます(笑)。有賀ひろみです。
会員
人物がイキイキとしていて面白かったです。それぞれ、役どころとご自分を比べて、似ているところや違っているところはありますか?
津田
僕は先ほどからわかっていただいているように、軽い人間でして…(笑)。別所とは全然違うので、今回は役作りを丹念に行いました。イメージが近づくように頑張りました。
有賀
有賀ひろみさん  佳代を演っていると「あんな風に思いのたけを伝えられたらなあ」と思います。「天国までの百マイル」のときは、重い心臓病の母親役で、一歩も動かないような役だったんですよね。それが今回は舞台を縦横無尽に立ち回り…(笑)。佳代さんはある意味可哀想な女性です。自分の思いとは別に、時代に動かされていきます。でも小樽で、最後には幸せを見つけます。
佐々木
 おセキさんと似ているところは….よくわかりませんねえ。「天国までの百マイル」では主人公の愛人のマリ役でしたが、「二人の老女の伝説」では「老女」役。私は、父方は士族、母は江戸っ子でした。若い頃は、あや乃さんくらいの役もやりましたが、最近はばあさん役ばかり。向いていないと思ったけれど、最近は、自分と違った役が面白いです。
私、今では劇団の若い俳優たちに、おセキさんが言うように「生半可でなく、本気でやれ!」とか言ってまして(笑)、そのあたりは普段の自分に近いかもしれません。ただ、おセキさんのように、いじらしく自分の息子に嘘をつく..などということはないですね。すぐ顔に出るし、嘘はつけないですよ〜。そのへんは違うかな。
阿部
「天国までの百マイル」では、安男の別れた妻役でした。そのときも不倫がらみで…。今回はまた妾です。あや乃さんは、明治の激動の運命から逃げることなく、それを受け止めて、自分の意志へと変えて生きていく女性。自分とは違うところだと、やればやるほどあや乃さんのすごさに気づきます。また、自分の弱さを感じます。あや乃さんの生き方はすごいなあと思いつつ、演っています。
会員
2年前に佐々木 愛さんの芝居をみたときも、今回と同様運営当番でした。そのとき、帰りがけに愛さんに「おつかれさま」と声をかけていただき、もうすごく感動して、ずっと励みになっています。愛さんはお母様にますます似てきた気がします。お母様も、若い時から長年、おばあさん役が多かったように思います。愛さんは愛くるしいおばあさん役で、これからもずっと長くやっていただきたいです。
佐々木
ありがとうございます。
会員
阿部さんは色気があって、感動しました。見習いたいと思いました(笑)。それから有賀さんは、私にそっくりの性格だと(笑)。私もとび回っていますが、死ぬまでこんな調子でがんばりたいです。今回の作品、最後は涙もホロリで、本当に感動しました。頑張ってください。
司会
地方に行かれることが多いと思いますが、地方に行くときの苦労と楽しさを紹介いただけませんか。
佐々木
佐々木愛さん 俳優はいろんな道があると思いますが…。私は17歳で文化座に入りました。そして18歳で、こういった地方への公演を経験しました。南は鹿児島から北は青森まで…。そのときは全国で鑑賞会をつくろうとしていた時代で、皆様方の熱いまなざしと出会って…。以来、今年で50年目になりますが、続けて来れました。よその舞台に出たこともありますけど…。鑑賞会では、今回もこのように大勢の方々が舞台片付けをしてくださったり、このように、寒い中を遅くまで残ってくださったり、こういう熱い出会いは、50年前の大きな感動と共通するものです。会場が違うので、会場ごとに苦労はあります。今日は広いホールでしたから、役者は、高松公演のときの2倍の声を出しました。(場内感嘆)たとえば、今治の会場だと前夜からセットづくりが必要だったり、全国で会場が異なるので、皆様にはわかりにくい苦労もあります。でもこうして、皆さんと交流できること、それが励みになって続けてこれました。今どこでも会員数が減っていると嘆かれていますが、私たちはもっと少ない頃から回っています。元々少なかったんです。あの頃はたいへんで、四国なんかでは、すごい旅館に宿泊したりしました。隣の部屋との障子が大丈夫かな、というくらいひどい旅館で…(笑)。だから、ここまでこれたというだけでたいへん喜んでいます。
芝居を観るのは好きで、東京でも良く観ますが、胸の奥から感動するものって余りなく、それだから皆さんにも、人を誘って観続けて欲しいと思います。家族や恋人で、お互いによく知り合っていると思っている相手でも、芝居の感想なんかは違うでしょうから、芝居を観て色々話し合うことで、より分かり合えるということもあります。芝居を観て自分の弱さに気づいたり...。得るものがあると思います。今日もそんな思いで演りました。
司会
まだまだ話は尽きませんが、時間も限られており、最後の質問にしたいと思います。文化座さんは来年70周年。今日は元気をもらえ、活力にもなりましたが、今後、どのような作品でどのように進んでいかれますか?
佐々木
 文化座は、1年1年、1作1作で歴史を作ってきました。戦争中にできた劇団で、両親をはじめ、設立当時の人は新派から出てきた人です。たいへんな時代で、演劇くらいは日々の日常のものをやりたいと、作品を作ってきました。なので、これから先もこれまでどおり、市民の生活に何が必要かを皆さんと一緒に考えて、そして、結果が平和につながるように、生きる力になるように、決して虚無的にならずプラスになるように、やっていきたいです。レパートリーをみていただければわかっていただけると思いますが…そういう作品を1作1作作っていきたいと思っています。
司会
今日はお疲れのところ、どうもありがとうございました。
会場の様子

E-mailでのお問い合わせは        鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
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