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エイコーン『松井須磨子』お茶会交流会

  エイコーン公演「松井須磨子」鳴門例会(2016年11月27日)の栗原小巻さん、城所潔さん(ピアニスト)、横田みはるさん(エイコーン制作)を囲んで、運営サークルの仲間とホテルアドイン鳴門で11月16日14:30からお茶会交流会を開催しました。

お茶会交流会1

<劇団の皆様からのご挨拶>

栗原小巻(敬称略 以下小巻と略)
今回の作品は「松井須磨子」ですが、松井須磨子さんは約100年前の日本で女優として活躍された方で、須磨子さんがいたから今の私たちがある、という思いです。今回は抱月先生は気配としては出てきますが…、城所さんが頼りです。劇中劇も出てくるのですが、私自身、須磨子がやった役をこれまでに演じています。「復活」のカチューシャですとか「人形の家」のノラですとか、「アンナ・カレーニア」のアンナも。須磨子さんの気持ちがわかるようなところもあって、それで演じています。客席の皆様も一緒に創っている時間と思っています。あ、まだみなさんは劇を観ていらっしゃらないので…通じるかなとも思いますけども。(須磨子さんの生きた)100年前って、そんなに前ではないんですよね。女性の頑張りを感じていただければと。
城所潔(敬称略 以下城所と略)
別名「抱月」です(笑)。観ていらっしゃらないのでわからないでしょうけども、今日はおしゃれをしてきました。ピアノのネクタイです(ピアニストとわかるように)。鳴門の前は高知でしたがそこの交流会で「カチューシャといえば頭に巻くものですよね」とおっしゃる方がいて(笑)。劇を観ていただくコツは、小巻さんは須磨子を演じるのですけども、劇中劇とかがあって途中からわからなくなるかもしれないんですよね。「今は誰?」という。難しいんですよ。まあでも小巻さんですね。観てください。
横田みはる(敬称略 以下横田と略)
このたびエイコーンの制作として初めて鳴門に来ました。嬉しいです。温かく迎えていただいて、ドキドキしています。先ほど城所さんが難しいとか言われましたが、ご安心ください。500円でパンフレットを販売しています(笑)。とても濃い内容のパンフレットで、読んでいただければ色々なことが分かりますので是非。今回は、ピアノ演奏、劇、歌、さらに衣装も楽しみにしてください。

<運営担当から鳴門市民劇場と今回の運営サークル活動のご紹介>

(略)

<参加者からの質問タイム>

会員F
今日はくじびきでの座席が1番でとてもラッキーでしたが、質問もトップバッターとは…。16年前に小巻さんの劇を楽しみました。舞台上で拝見するのはその時が初めてでした。もちろん映像では色々見ていまして「忍ぶ川」や「わが青春のとき」、そして山本圭さんと共演された「若者たち」などです。「若者たち」は大好きな作品なんですが俳優座の役者さんが多く出てらっしゃたかと。小巻さんも俳優座でキャリアを積まれたと思いますが、その後独立してエイコーンとして活躍されています。そのあたりのお話をお聞きできましたら。
小巻
1994年の12月に恩師である千田是也先生が亡くなりまして、そのときは、このまま女優を続けられるのかと思ったほどでした。そのときに「欲望という名の電車」のお話があったのです。その前にロンドンで蜷川マクベスをやっていたのですがそれをみてくださっていた、(「欲望という名の電車」の)著作権をもっていらっしゃる女性から是非にと言っていただいて。そして鑑賞会からも是非というお話があって実現しました。1995年、中国ブロックから始まりました。それがあって、女優を続けられると思いました。エイコーンはその前から作ってはいたのですが、そのときから本格化しました。俳優座にいたときに、自分の20周年にプロデュースした記念で、当時はロシアのチェーホフとかをやっていたのですが、現代劇として「恋愛論」をやりまして、受け入れる会社体が必要で作りました。でもその後は少し休止状態でした。
お茶会交流会2
会員T
コマキストで。労演時代の徳島市民劇場の創立メンバーです。今は観るだけですけど。栗原さんとは同時代を生きてきたと思っています。新劇運動にも関わりました。よもやこの年でこんなに近くに見れるとは、夢のようです。これも鳴門市民劇場のみなさんの頑張りだと思います。ロシア民謡もよく歌いました。小巻さんには繊細な中にもどこか大陸的な何かを感じていましたが、今日も同じ印象です。何かバックボーンがある方だなと。私は二回目の七五三で「七五三、見果てぬ夢や 銀木犀」夢を追いかけてきましたが、小巻さんの夢はどういうことでしょうか。
小巻
1日1日、ワンステージワンステージが大事だなと思っています。次の日のことはあまり考えず、その日を精一杯やろうと。そのほかでは…そうですね、今、映像には全く出ておらず舞台のみですが、舞台の合間に社会活動や文化交流に関わっています。繋がりが深いロシア関係でロシア文化フェスティバルには2006年から関わりが続いています。また日中文化交流にも。エイコーンという会社は小さくて、代表と加来の2名のみで。でも都度素晴らしいスタッフや俳優さんとご一緒していて、そこは家族みたいにやっています。みはるちゃんもそうですし、城所さんとは何十年も家族的に。でも、作品は、一作一作創っています。
会員H
小巻さんとはおそらく学年が一緒です。若い時から拝見しています。地方へ、こうやって全国を回られることが多いと思いますが、その土地土地で印象深いできごとやエピソードなどがありましたら…。あと、タイトなスケジュールで動かれていると思いますが、健康維持はどのようにされているのでしょうか。
小巻
こうやって、例会の実現が決まりますでしょう。それが決まるということが何よりも健康の秘訣です。それまで頑張らなければと思えますから。今回は久しぶりに四国に来まして…高知では、初めて会う親戚の人に会ったりしました。一昨日は樫山文枝さんと偶然同じ劇場の大ホール・中ホールで出くわすということもありました。春までご一緒だったし、文枝さんはわたくしの芝居を観に来てくださってわたくしも文枝さんの楽屋にお邪魔したりしまして。でも、何よりも、市民劇場の皆様のご努力がうかがえて、一緒に例会を創っているというのがとても嬉しいです。
城所
私、ピアノの演奏は静かなんですけども、実はとてもおしゃべりで…。いいですか?しゃべっても…(拍手)。最初に「抱月」と名乗りましたがそのわけをお話しします。私は新宿区、早稲田のそばに住んでいるのですが、そこに住むようになったその年に(「松井須磨子」の)初演。そして再演があると決まったときに、古本屋に行って須磨子関係の本を2冊買ったんですね。そして最初のページをめくると、自宅前にある八幡さんの写真が…。住んでいるところが、須磨子がちょうど三味線の稽古をしていたところでした。そして須磨子さんのお墓を探すと、それは信州にもあるのですが、分骨で新宿にもあったんです。さらに、お墓にあった家紋が自分の家の家紋と同じだった!そういうことがあって、自分は「抱月」だ、と思っているんです(拍手)。なので不思議な感覚で、舞台上で一生懸命須磨子をみていると間違えたりしてしまうので、できるだけ入りすぎないようにしています。でも、小巻さんは本当にすごい人なので、つい(台詞とかを)聞き過ぎてしまう。異様な緊張感がありつぶされそうになります。少しは慣れてきましたが、一緒に味わっています。小巻さんが台詞を言っているときは尋常じゃなく緊張している感じ。脳とか身体とかすべてが反応して(ピアノが)弾けなくなる…。入り過ぎてしまうと(そうなります)。あ、舞台では、僕は見なくていいですから(笑)。
横田
今のような話をするのが城所さんなんですよ〜(笑)。私は制作なので旅公演は仕事がらいろんなアクシデントには見舞われます。でも話せるものは特に思い浮かばないかな…。エイコーンでは2年になりこれが三作目ですが、大人のカンパニーなのでラクをしていると思います。ただやはり怖いのは自然。今年8、9月で九州を回ったのですが、台風が2回も来ました。でも、来たら、仕方ない。佐賀で公演中に来るという予報で、事務局長さんと「こないで〜!!!」とこんな風に手で押したら、なんと停滞したんです。でも次は移動中が問題。列車が止まるといけないので、また押しました(笑)。次の長崎では、搬入口に屋根がなかったのでそのときに降ってはたいへん。だから今度は「今のうちに行っちゃえ」と押したら、長崎に着いて夜のうちに抜けてくれました!
お茶会交流会3
会員Y
鳴門は男性が元気とよく言われて、いつも交流会でも発言が多くて。私はあとから後悔することが多いので今日は後悔しないように(言います)。16年ぶりに来ていただいて本当にありがとうございます。私も労演から観ています。20歳からなのでまさに半世紀になります。でも16年前と変わらずお綺麗で若くて…。今回は一人芝居ということでも楽しみにしています。過去に一人芝居としては渡辺美佐子さんの作品を観たことがありますが、須磨子を一人舞台でどう演じられるのか…一人芝居についてのことをお伺いできますでしょうか。
小巻
一人芝居というのはこれまでの役者人生で考えたことがなかったです。お芝居というのは、2人、3人…のキャッチボールで生まれるものと思っていましたから。朗読劇はありますが、それとも違う。今回はなぜかこうなったんですが、初めての経験です。どう言ったらいいのか…やはり観ていただくしかないのかなとも思います。でも、この作品は、一人芝居であるから成立したという気もしています。うまく構成してくれたと思っています。劇中劇もあり、抱月先生もいてくれますし。一人芝居でよかったのかと。
会員U
城所さんに苦労話がありましたかどうか、おききしたいです。一人芝居ということでピアノは重要と思いますが出過ぎたら困るでしょうし、ピアノ演奏の意味合いとご苦労話をお伺いできたらと。
城所
苦労ではないですが、いつも音楽は別のもの…。小難しいことを言うと、20代から歌の伴奏はずっとしているんですが、そのときは“色”であり“景色”。今回は台詞との関わりや転換との関係、そういう流れをはっきり分かりながら、観る方がスムースに入っていけるようにという思いでやっています。それが合っているかどうかは分かりませんが。考えつつ弾いているのが自分のためになっています。小巻さんと色々話して、勉強にもなり、嬉しい。ピアノはフィーリング。しゃべっているのと音の感じ。音と心情。後ろで…と思っています。本当は難しいことではなく、難しく考えてやっているだけかもしれません。本当は楽しいですよ。
会員K
城所さんは「抱月の生まれ変わり」というようなことでしたが、自分は島村抱月というのは国語の教科書で名前を見た記憶がある程度でほとんど知りません。城所さんが考える抱月はどんな人なんでしょうか。
城所
若いころに苦労した人らしいです。里子に出されたとかも?東京に出てきて結婚するのですが、それも養子だったとか。子供が多くいて、3〜4人?もっとですかね。で、スペイン風邪で亡くなるんですが、その頃はもう須磨子と付き合っていたのですけど、亡くなる直前にもう一人子供が生まれている。どうなってるのかなとか。男と女は難しいということでしょうか。まあ、抱月のそんなところも、男として分かるには分かりますが、でも、そんなことはできないですよね。また、分からないといえば女だって分からない。分からないけど、一生懸命だとなんとかなる、人間としてどうなのか…は、僕も実際付き合ってはいないのでわかんないですね(笑)。モテた人だとは思います。台詞に「そんなこと言うなら死んでもいい」というのがありますが、思うことを押し通す昭和の人なのかなとか。須磨子とのこともよくわからない。遡って、明治や江戸時代後期のことを考えても、カネと地位があるとお妾さんを持ったりしますね。平成の今ならクビですよ。何かに自信があるとそうなるのかな、自信があったのでしょうね。英語もペラペラだったようです。付き合ったことないですけど(笑)。
お茶会交流会4

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nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
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