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浅野雅博さんに開演直前インタビュー

楽屋訪問88


 俳優座劇場プロデュース公演「もし、終電に乗り遅れたら…」鳴門例会(2018年7月18日)で“ブスイギン”役をされる浅野雅博さんを開演前の楽屋に訪ね鳴門市民劇場がインタビューしました。

鳴門市民劇場(以下鳴門と略) まず「もし、終電に乗り遅れたら…」の作品ですけど、父親が自分の息子としてすぐに迎え入れたことに違和感あるんですが、浅野さんはそれをどう捉えていますか。

浅野雅博

浅野雅博(敬称略 以下浅野と略) 納得出来にくいのですが、思い込んで演じていました。政情が定まらない時代背景があったみたいで…ソ連という土地柄であれだけ広い国で、戦争という社会状況の中で、自分に身に覚えがあることが結構あったそうです。僕も最初台本を読んだときは「え~!」って思ったんですけど、5年間ロングランで演ってみると、もしかしたらありえるかと…。観て頂ければわかると思います。

鳴門 この作品で、突然現れた若い人とその人たちに対応する家族のやりとりの中で演っていきながら何を表現したいと思ったのでしょうか。

浅野 自分の役のブスイギンは本当にお父さんがいなかった。母親と暮らしていて、ある種お父さんへの愛に飢えている。一晩泊まった時にこんな温かいお父さん、無垢なお父さんがいたらと思う。「お父さん」と言えないけど、父親にハグされて、「なんてこんなにハグされるって温かいんだろう。お母さんに無い温かさがある、もうちょっとこの人に関わりたい、一緒にいたい。」と感じていると思います。
この初演の初日の夜中に僕の子どもが生まれました。この作品はロシアの原題が『長男』というタイトルでして、初演と息子の子育てで大変な中の舞台でした。

鳴門 その人間性を納得しながら演じていますか?それともおかしいなと思いながら演じているのですか?

浅野 それはとことん納得しないとできないことです。どうやったらお客さんに納得して貰えるかを考えながら演じています。お客さんは、すごいから、ウソだと分かります。だから真剣に演じている役者を観ているうちに、お客さんが信じていくようになると思います。

鳴門 皆さんの所属劇団自体はいろんなところで活躍されている方々なんですよね。それなのに、仲が良くて、皆さんでどう過ごされているんですか?

浅野 同年齢の人があんまりいなくて、でも平等なんです。お父さんがいて息子がいて和やかな家族みたいな感じで…。自由にいろいろな所に行っていいのですが、なんとなく同じ場所にいたりして…。今日はこの作品の最後のステージなので、カーテンコールで(泣きそうで)けっこうやばいと思います。この前も小田君が誕生日の舞台だったので、舞台上でお祝いをすると、号泣してましたね。

鳴門 趣味は何ですか?

浅野 海つりです。神奈川県の海で舟に乗ってつりをしています。キスがよく釣れるのですよ。あとキャンプとか…アウトドアですね。

鳴門 最後に、私たちのような演劇鑑賞会の活動について何か考えられていることがあったら教えてください。

浅野 演劇だけは、稽古でいくら僕らが頑張ってみてもまったく見えないんです。会場に観に来てくださって、感動したり、笑っていただくことで私たちもパワーを貰っているんです。
だから直接生の舞台を観て頂くしかないですね。だから鑑賞会があるということで、私たちの力も磨かれています。ですから、鑑賞会があって、作品を選んで頂き、やっと私たちはこうして来ることができます。感謝しています。ぜひ頑張ってください。

インタビューアー

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