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滝沢家の内乱

加藤健一事務所公演

鳴門市民劇場2020年1月27日例会 感想集


鳴門例会カーテンコール

サークルの人との会話『たった2人であれだけの演技が出来るのはすごーい』 エネルギー溢れる元気をもらった観劇でした。
 声だけの出演の風間さん、高畑さんの効果的に舞台を盛り上げているのにも感動です。本当に骨のある素晴らしいお芝居に出会いました。大熱演に拍手、拍手。

カトケン事務所、大好きです。今回も大変良かったです。二人芝居は、台詞が多くて大変そう!カトケンさんの芝居は毎回そうです。そんな所も、素敵です。加藤忍さんもユニークで良かったです。

滝沢馬琴が滝沢家の重荷を一人で背負い実直に生きる姿、嫁のお路さんが人並み外れた健気さで前向きに生きる姿に共感し、馬琴さんとお路さんの心が通じ合っていく様に感動した。お路さんの色気も楽しかった。声だけの風間杜夫、高畑淳子も熱演であったが録音であると分かっていても、もう少し録音技術で臨場感ある声に出来ればもっと迫力がでるのに、と残念であった。  

馬琴とお路、宗伯、お百の声の出演、演技の一体感があり、4名がその場で演技している様に思えた。中でも馬琴とお路の演技は滝沢家の様子、八犬伝執筆までが、分かりやすく、素晴らしい演技で楽しませてくれた。

前半は重い感がありましたが、全体的にはとても面白かったです。

滝沢家へ嫁いだお路の姿から「人は年を重ね、いろいろな経験をすることで成長する」ということを感じた。言葉使い、しぐさ、顔つき、声のトーン、着物の柄、行動それぞれが目に見えて成長する様子がよく分かった。お路自身の前向きで明るい性格がより一層、人として成長させたのかもしれない。私も、これからの人生どんな苦難も負けず、みんなで乗り越えていきたいと思った。

今回も、笑いあり涙ありで、とても感動したのですが、特に滝沢家に嫁いできたお路、滝沢家の一員として奮闘しているお路、馬琴の眼となり必死に頑張るお路と、だんだん成長している“サマ”を着物や髪型、声質や口調などを通して見事に演じられすごく感動しました。

た たいへん、と一言では片付けられないほどの大変さ
 き 気が狂いそう… !
 ざ ざわざわざわざわ、ずっとざわざわ
 わ 私の居場所はどこ?どこにあるの?それでも
 け けなげに舅、姑、夫につかえる嫁のお路
 の のんきでおしゃべり好きで明るくて・・
 な なにも考えずに嫁いで来て・・・
 い いやいやしかし、舅のために口述筆記を始めたことで
 ら ライフスタイルが180度転換!
 ん ん~と、ん~と、努力の甲斐があり、漢字の読み書きができなかったお路が舅馬琴の為に八犬伝を仕上げたのです。
 すごいぞ、お路!
 あんたはエライ!

さすがカトケン事務所、二人芝居を堪能しました。(高畑淳子さん、風間杜夫さん)の声の出演も含めて令和2年度の観劇スタート素晴らしかったです。

すごいなぁ~、カトケンのお芝居を見るといつもそう思う。「モリー先生との火曜日」の時も病人役だったけれど、本当に病人に見えるんですよねぇ~なのに、声がそれっぽいのにしっかりと聞こえる。役者としてのプロ意識に頭が下がります。
 そして、今回の劇の感想は、あの家の嫁にはなれないね~とサークルの女子全員の意見でした。いくら、馬琴さんに憧れて馬琴さんの嫁になりたかったからとて、あの夫の嫁は無理!姑と一緒は無理!でも、きっと、それほどまでに馬琴に惚れていたんですね。夢の中の気持ちが本当であって欲しかった世界だったんですね。そうありたいと・・・

舞台の上の屋根の上での芝居。怖いであろうにと思いながら、でも、馬琴が通常から逃げたくなる気持ちはよく分かる。
 お路の見えない努力はすごいものだ。馬琴に憧れて嫁になる決心をしたその気持ちが、一生ずっと続いていること、しかも、どんな苦労が待っていようとも、その気持ちが支えになっていたのかもしれない。
 今回、あまり興味がなかった滝沢馬琴から、たくさんの知識を教えてもらった気持ちである。

過酷な家庭環境の中、里見八犬伝を完成したことは、まったく知らなかった。改めて、もう一度本を読んでみたいと思いました。

滝沢家の乱れた生活の中にお路が宗伯の元へ嫁いできた。が、馬琴の意地っ張りでケチで傲慢な暮らしの中でお路はしんぼうを重ね、読み書きを教わりながら「八犬伝」を口述筆記により完成させたという偉業を成し遂げた事実を演じている。そこには馬琴とお路の意思疎通が上手に表現されていて、とても安堵することが多かった。
 「南総里見八犬伝」が28年にわたって作られたこともこの演劇で十分あらわされ、本当に素晴らしい「滝沢家の内乱」でした。人間愛あふれる作品だと思います。

ふたり芝居とは思えない、迫力ある舞台だったと思います。それに、これが実話だったと知って、驚いています。読み書きができなかったお路さんですが、きっと生まれ持った文才に気づかないまま、馬琴にあこがれいつしか才能の花を開くことができたのですね。席が前のほうだったので役者さんの息づかいや衣ずれの音まで感じられて、心に残る観劇になりました。

二人芝居に声だけの二人を加えて、どんなつなぎ目などを演じるのかと思っていたが見事に対話しているように演じていた。それにしても、息子は病気で早死し、妻はノイローゼ、孫も22歳で亡くなるなど、幸せとは言いにくい人生を「家族の面倒を見る、家のため」に文筆活動を続けた馬琴に同情した。しかも、渡辺崋山の濡れ衣を晴らすための証言をしなかったのも「家のため」との思いゆえとはいえ、判断のまようところだ。お路の学ぼうとする強い意思があったればこその「八犬伝」完成に胸を打たれた。

「滝沢家の内乱」、題名からしておもしろそうじゃありませんか。
 それも、史実に基づいていると聞くとますます興味をそそられます。幼少の頃、微かな記憶を辿れば、NHKの番組で縮緬の布でできた人形劇であったように思います。残念ながら物語の内容まではよく覚えておりません。28年間にわたって執筆された全98巻106冊にも及ぶ日本古典文学史上最長の小説と聞いてまたびっくり… 登場人物はお二人と聞いてどんなお芝居になるのかと思ったら、お百も、宗伯も太郎も舞台のそでにいました。笑いあり、涙あり、ちょっぴりお色気もありで、とても楽しく観させていただきました。ダブル加藤さんの息のあったところもすばらしかったです。 
 私は何といってもお路さんの美しい所作にとても惹きつけられました。86歳の母はお路さんの声がよく聞こえたという事と、屋根の上にはしごを使ってするすると登っていくシーンでは、おちいへんか(阿波弁) 落ちないかとハラハラしたと言っていました。主人は一言、おもしろかったと…。人それぞれ違った感じ方、捉え方でいいと思います。でも、お路さんの色気にノックアウトされた男性陣は多かったと思いますよ。また、2021年3月例会「罠」で、加藤忍さんとお目にかかれるのを楽しみにしています。

精神的に病んだ登場人物がいる中でもコミカルな描写にクスクスと笑える場面が多く面白かったです。お路のように天真爛漫に明るいっていうのは、周りの人を幸せにすることができるのではないかなぁと思いました。馬琴は一人で家のことを全て背負っていたようですが、この時代の方が今よりも一家の主として「そうしなければならない」という価値観が強かったのでしょうか。大変だなぁ、、、と思って観ていました。

南総里見八犬伝と言えば、私たちの世代ではNHK人形劇「新八犬伝」で馴染みが深く、その作者である滝沢馬琴を題材とした舞台と言うことで、期待感を持って観劇させて頂きました。滝沢家の内乱の所以たる宗伯とお百の鬼気迫る演技を声のみの出演とは言え、風間杜夫さんと高畑淳子さんが熱演されていたのも素晴らしかったですが、特に印象に残ったのは、加藤忍さん演じるお路が滝沢家に嫁いで間もない若々しい頃から口述筆記をするに至る頃までの心の成長を上手く演じられていたことでした(一番のお気に入りは、屋根の上での馬琴の「夢」のシーンですが・・・)。

2人芝居であるのにも関わらず演技力や話の内容に引き込まれるものでした。
 私自身結婚はしておりませんが、家族付き合いの難しさや苦労などが表現されており、それがあるからこその支え合いという面も強く感じれたように思います。これを機に南総里見八犬伝を読んでみたいとも思いました。(長編なので読めるかは分かりませんが…)
 また、私自身歴史上の人物を取り扱っている演劇は今後も取り入れてほしいと思っています。
 教科書で知っている人を深く知れるのは、本当にいい機会にもなりますので。

滝沢家の内乱。ある家庭のある人の一生。客観的にみたら、なんて人の一生なんて、儚く小さなつまらないものなのか。
 そんなあっという間の一生の中で、泣いて笑って、怒って嘆いて。みんなそれぞれの泣き笑いがある。
 私は私の一生を、残りの人生を、流れに抗わず素直に、自分なりに生きていきたいなと感じました。

カトケン事務所には珍しい和物でしたが、目の前で展開していく馬琴とお路さんの20年余りをみていると、最後にはなぜか「buddy(バディ)」という言葉が浮かびました。最初は厳格な義父と何ひとつできない小娘同様の嫁の関係、教養・才覚・人間性、何をとっても天と地の開きがあった二人の距離が、どんどん近くなり、最後に近いところではついに逆転、私にはそう見えました。そう感じた場面は、馬琴が、自作についての悩みを思わず吐露するところ。こんなにひどい状態の自分の家族さえどうにもできない人間なのに、勧善懲悪の物語を書く意味が、資格があるのだろうかと心の内を明かして嘆く馬琴に対して「いいじゃないですか(それで)」ときっぱりと言ったお路さんの声色は忘れがたく心に残りました。二人は「ナイスバディ」になったのだとちょっと目頭が熱くなり拍手を送りたくなりました。でも逆に…。あんなひどい「滝沢家」だったからこそ、苦労を共にした戦友的な意味として、あの関係が育ったのかもしれなくて、宗伯さんとお百さんはとんでもない描かれ方でしたが、一役かったのかも!?(笑)
 大ファンのカトケンワールド。今回も期待の何倍も良かったです。

鳴門例会カーテンコール

お二人がほとんどでずっぱり、すごい熱演でした。また、描かれていた滝沢馬琴も本当にすごい人だったと感激しました。息子の妻と繋がりが深まっていく姿、話の流れが感動的でした。それから屋根の上での演技は、もう吃驚!凄く元気だなあと!!
 すべてひっくるめて大人気の作品になっていることがよくわかりました。
 そしてそんな熱演のあとのカーテンコールも感激しました。

滝沢馬琴という人について、カトケンさんを通じて、奥深くユーモアも交えた人柄を感じることが出来ました。2人芝居という演出に新鮮さを感じつつ、滝沢家の年月の経過をきちんと感じさせてくれるお二人のパフォーマンスは素晴らしかったです。最後まで飽きることなく心を掴まれていました。
 ほっこりしては、涙腺も緩み、時々笑って‥楽しい時間でした。

個人的には面倒くさいなあと(笑)昔の私の家を見るようで、居心地悪さがあったなぁ。前半終わった時、おぉ救いはあるんか?と思ったけど、結局は過ぎ去るしかないんだなぁって終わり。なんとなく、内乱とは意味が違う気がしたけど、最終的には馬琴さんとお路のハートフルな感じで終われてホッとした感じ。お路役の人の変わっていく様が面白かった。貫禄ついていく感じとたまにキュルンとしたところが素敵だった。声のトーンとか。馬琴役の方の声のハリが素晴らしかった。1人であの声が出せるのはすごいね。ご挨拶も卒なく、初めて入会して見に来た方への言葉もなんか特別感あったわ。
 先週のラジオのゲストが若い役者達で、声の張り方がまだ何かを演じてる風な感じがあからさまで、自然にできるようになるには、馬琴役の方のようになっていかないとなのかなぁなんて思ったよ。

家庭内のことは外から見るだけでは分かりにくい。だから「内乱」か。
 昨年ニュースとなった件の元官僚が農水次官だった時、既に「内乱」状態だった。でもそれを外から見て気付いた人はいない。立派に役目を果たしていたから。
 ところで、「働き方改革」以前の男性に聞きたいのだが、妻子がいるにもかかわらず、この妻子が居なければもっと仕事ができるのに、と思ったことは無いか?私はある。今我が家はまさに正念場。「内乱」状態である。
 元官僚はどうだろう?馬琴はどうなのだろう。きっとあると思う。馬琴は妻子を犠牲にし、そして息子の妻の人生を犠牲にし、彼は八犬伝を完成させることができた。彼は幸せであろう。彼の才能を息子の妻は愛してくれた。そして、家族の犠牲の上に、後世に名を遺した。
 翻って自分はどうだ?妻子を犠牲にし、働いてきた。でも、それは決して妻子のためではなく自分のためだ。でも、その結果、後世に残せるものは何もない。自業自得とはいえ無駄な人生だった。
 だから、もっと早くこういう芝居に触れて考えないといけなかった・・・のだろう。自分は家族を持つに値する人間なのかどうかを。

舞台劇を楽しめる要素を沢山持った良い劇だと思います。馬琴とお路との二人が巧みにやりとりするセリフ、声のみの出演者やナレーションで進めていく展開は見応えがありました。
 滝沢馬琴、加藤健一さんのはまり役ですね。
 滝沢家の内乱、再度みたい作品です。

前の席だったので、間近で見る加藤健一さんは迫力がありました。まさかの屋根の上の演技は反り返りながら見上げていました。風間さんと高畑さんの声も絶妙で、ホントに裏の部屋に居て叫んでいる様でした。お路さんの結婚はご主人とですが、馬琴さんは舅であり、人生の師匠として運命の出会いだったのだと思いました。

高校時代に日本史を選択していたので、滝沢馬琴の名前は知っていた。南総里見八犬伝も知っていた。しかし馬琴の人生に思いを馳せたことはなかった。あの有名な代表作が生み出された背景を知り、滝沢(曲亭)馬琴について知りたくなった。
 カトケンさんの姿をかりて200年の時を超え現代にやってきた馬琴、晩年は目が見えなくなり、息子の妻お路の口述筆記で脱稿できたというのも驚きだ。
 現代人はパソコンに頼るあまり漢字が書けなくなっている。まぎれもなく私もその中のひとり。口頭で漢字を教える馬琴とそれに応え筆記するお路、その苦労と努力は並大抵のものではなかった。カトケンさんの演技力は言うまでもないが、新婚当時の可愛いいけどちょっとお馬鹿な娘時代から、馬琴を支え頼られる存在にまでなったお路の成長物語でもあり、演じた加藤忍さんにも拍手を送りたい。

馬琴とお路の台詞の駆け引きが面白く、ついつい引き込まれました。途中から宗伯、お百の声だけが流れるが、同じ場所に出演していると感じる。今までは、必ず役者の皆さんは同じ舞台で台詞を声高に話している。不思議な演出で初めてであった。私達も同じような場面に出くわすことが生活の中にある。
 さて、お芝居は馬琴の目が見えなくなり、お路が八犬伝の代筆を買って出る。馬琴は、目が見えなくなっても尚、お路は代筆をしてでも物語を完結させようという2人の意気込みに頭が下がる。字の書けないお路の苦労は並大抵ではなかったと思う。目的をもっての努力を教訓としたい。

加藤健一プロデュース100本記念公演。ベテランの2人の息の合ったやり取りが、楽しくコミカルであった。目の見えない馬琴、その馬琴を助ける息子の嫁のお路、苦労をしつつ八犬伝をしあげる。二人の執念を感じる。馬琴が先に没しその10年後にお路も亡くなる。お路には満足のいく人生であったと思う。
 さて、舞台に目をやると、どうしてこのお芝居の空間が広々としていたのだろうか?それは、中心が右前方に振れていた。そのために、従来部屋は90度の壁に設定される。が、中心が振れているために部屋の壁、ふすま等が鈍角(例えば120度等)になり空間が広々として奥行きが生まれる。私たちの為に設定された舞台である。

舞台上の壁の説明図

まず、最初に少し耳が遠くなっていますのでイヤホーンをお借り出来て劇中の会話が明瞭に聞き取れたことを有り難く思っています。非常に良いシステムと感心しています。
 さて、観劇の方ですが、「お路」役の加藤忍さんの衣装と髪型が14年の歳月を経るごとに徐々に代わって行くのは当たり前ですが。短時間に代わって行くのは衣装やヘアメイクが大忙しだったと思います。加藤健一さんの「馬琴」が同時代の戯作者との対抗心や家庭内の葛藤もよく表現されていました。屋根の上に上がっての話の進行も斬新でした。
 「宗伯」役の風間杜夫さんと「お百」役の高畑淳子さんの声は脚本を十分に読まれてその都度適当な声音を出されているのに驚きました流石に俳優さんです。これも音響担当の方が苦労されたことでしょう。話の内容からすると悲壮感があるのですが、全体に明るく進行しており、見る側にとっては面白く楽しく見ることができました。これは加藤忍さんの演技によるところが大きいのではないかと思います。またお二方の声のみの出演が深刻さを和らげていたのでしょう。大変うまい演出です。最後に「琴童」の名前を与えたり、「馬琴」や「お路」の死去の年号などを伝えてより感動的になっているなと感心しました。
 出演者は二人でもそれを一つの舞台に仕上げるのに、大変多くの人があってのことだということがよくわかりました。

「南総里見八犬伝」が口述筆記で完成させられたとは知りませんでした。その苦労が劇を観てよくわかりました。特に屋根の上で馬琴とお路が語り合い、互いを理解し認めあう関係になっていくところが楽しめました。馬琴の妻と息子の奇声罵声を時々聞かせるだけで登場させないところも面白いと思いました。

かなり以前に加藤健一氏の一人芝居を観たことがありますが、あれだけの台詞をどのようにして覚えるのだろうかと驚いたことがあります。今回は2人でしたが、やはりすごいなあと思いました。風間・高畑両氏の声の出演も大変良かったです。

今から約200年前のお話で、時代をすごく感じました。屋根上での場面も絶妙なやり取りで、笑いもあり楽しめました。息子の宗白、馬琴の妻お百の声のみの出演も、お二人共ベテランの方でさすがでした。会場への送迎もメンバーのご家族がしてくださりありがたいです。ありがとうございます。

今まで里見八犬伝は滝沢馬琴ということしか知らなかった。初めて古典の舞台を見たという感じがした。しっかりとした古典なのにユーモアたっぷりで面白かった。生々しい生活感がたくさん表現されていたが、それで終わらず二人の掛け合いが舞台を盛り上げ楽しかった。

初めて見るカトケン版時代劇。カトケンワールドに引き込まれた2時間余りだった。滝沢馬琴が28年の歳月をかけて完成させた「南総里見八犬伝」。途中失明という困難に遭遇しながらも、息子の妻である文字の読み書きができないお路の口述筆記により完成させることが出来たことを初めて知り、感動した。

南総里見八犬伝を完成させるために、馬琴にとってなくてはならなかったお路の存在。馬琴とお百、宗伯とお路の関係は心通う関係とはいえなかったかもしれないけれど、明るく健気なお路の存在が馬琴の心の支え、またお路にとっても、作家である滝沢馬琴を支えることが心の支えであり、生きがいだった。馬琴もお路も紆余曲折はあったものの、満足のいく人生だったと感じていたようで、救われた。

1.馬琴とお路の何とも壮絶な人生であったことか!“反乱”というと恨みつらみで一挙に爆発というイメージを抱いたが全く違った。お路の長い人生とこれを支えた心、精神の変遷劇であった。一幕目、馬琴一家の家族ぶりには現代家庭の混乱ニュース(引きこもり、DV、虐待…等)を連想し、お路の絶望感、劇全体に嫌悪感さえ感じた。二幕目以降、お路の開き直りと気丈に生き続け、最後にむくわれた心境に到り、ホッと自分も救われた気がした。
 2.お路は生娘のままの新嫁から二人の子供を育て、滝沢家のたくましい大黒柱となりさらに目が見えなくなった馬琴の口述筆記を自己の生きがいとして挑戦。馬琴との信頼感が深まっていく過程が苦しくもあり、いとおしく、最後に大作「里見八犬伝」脱稿で達成に喜ぶ二人の姿に観客全員が救われた。
 3.2人芝居であったが、さすが加藤健一、声もよく通り、迫力の舞台であった。節目節目で風間の日記風ナレーションが現実感、時代の流れを加え、渡辺崋山の蛮社の獄とのかかわり、最後の「お路没後10年で明治維新となる」のくだりは時代背景のダイナミックさを感じた。封建時代のお家大事、経済的困窮の世で、粘り深く悪戦苦闘し、生きる目標を求め続けたお路と馬琴!現代に生きる我々には果たして耐えられるだろうか?

滝沢馬琴と嫁のお路とのやり取りのおもしろさ、息ぴったりの二人のドタバタ劇に笑ったり、又じんとくる場面を次々と見せてくれて、とてもすごい役者さんだと感動しました!
 加藤健一さんと加藤忍さん、また二人の舞台を期待しています。とても面白く笑いながら観せてもらいました。

加藤健一さんという俳優さんの印象は温厚で穏やかな人物とみていますが、いざ役に入るとその人になりきる。他の人からも聞いたことがありますが、この滝沢馬琴になりきって演じている姿が観ていてすごい人だと思いました。物語は忍さんと二人芝居でしたが、二人共次々とこなしていく姿がとても面白くじんとくる場面もあり、のめりこんでいく舞台でした。とても面白く楽しい演劇でした。

滝沢馬琴が「南総里見八犬伝」をどのように執筆したのか?その苦労・苦難も含めて良く分かった。
 カトケンさんの何度ものはしご上り下りに感動。役者は体と健康が一番だとよくわかった。若い!また、市民劇場に対する「思い」も伝わり、感激でした。忍さんの屋根の上でのセクシーな所作にドッキリ。やはり、加藤健一事務所の芝居には、惚れ惚れです。どうもありがとうございました。

奥が深くて、よくわからないところもあったけど、2人芝居は凄いな…と思いました。
 また、私も結構しんどかったです。 終わった後にメンタルがやられた感じでした。滝沢馬琴って、そんなに大変な事情を抱えてた人だったのね…と思いました。

二人芝居と思えぬ展開で、始めは十代のキャピキャピしたお路が最後にはしっとりとした仕草のお路さんに変わっていく様はびっくりした。着物の所作がキレイ!!馬琴の屋根へ上がっていく姿は落ちないかとドキドキしながら見てしまい、二人の姿やしっかりとした声のセリフにあっという間の2時間。徳島では違和感のあった録音出演のお二人の声も鳴門ではきれいに調節されて2幕の最後、蝋燭の火だけのシーンから3回も観て感動してしまった。

鳴門例会カーテンコール

E-mailでのお問い合わせは、         鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。