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水井ちあきさんに
開演直前インタビュー

楽屋訪問106


 劇団1980公演「素劇 楢山節考」鳴門例会(2023年5月10日)で“おりん”役をされる水井ちあきさんを開演前の楽屋に訪ね鳴門市民劇場がインタビューしました。

水井ちあきさん"

鳴門市民劇場(以下鳴門と略) 「楢山節考」を素劇で表現する魅力は何ですか?また注目して観てもらいたいところは?

水井ちあき(敬称略 以下水井と略) 素劇は劇団に入る直前に「東京行進曲」を一観客として初めて観ました。そこから素劇に携わり、一生懸命やっているのですが、本意が解っているのかなって思います。ただ、シンプルで、必要かつ十分な表現、単純明瞭でストレートに情景を伝えることができる、それが素劇かなと思います。
 先輩がおっしゃっていたのは、役者が紐や箱を形にしていく作業は、お互いに助け合ったり協力しながらの表現であり、観ている方にもそれが伝わる。そういった人の営みみたいなものが、素劇では伝わるのじゃないかと思います。

鳴門 老女を演じるうえで工夫されていることを教えてください。

水井 私は、背が小さいしこういう声なので、学生の頃から若い役よりお年寄りの役を配役されることが多かったですね。
 おばあちゃん子で、近所のおばあちゃんとも話をしたり、身近な存在であったので、自分が演じるとなった時に、そういったことを想像したり、電車の中でおばあちゃんがいたら、指先を見たりとか、どうしてもそこに目が行きます。子役をする時には子供に目が行くし、そういう日常の中での仕草とかに注目しています。
 演じるうえでは、身体の調子や緊張で声が上ずってしまうので、そこを気を付けて、落ち着いて動じないように演技するよう努力しています。

鳴門 「楢山節考」は映画で注目を浴びましたが、舞台で表現することで伝えたいことを教えて下さい。

水井 映画は映画の楽しみがありますし、役者さんが面白かったり、監督として伝えたいことがあると思うのですが、この舞台は、素劇にすることで、シンプルに伝えられる。生ですから、同じ時間を共有し、もし何かトラブルがあっても、共鳴しあうことができることが魅力かなと思います。
 あとは音楽ですね。歌を紡いでいくことに挑戦して、一つずつの歌を大事に伝えられる楢山節考というのを見せられたらいいなと思っています。

鳴門 鳴門公演で楽しみにされていることを教えて下さい。

水井 鳴門は初めてなので楽しみにしています。いろいろな所に行かせていただくので、その土地の食べ物や自然が楽しみです。私は静岡出身で、元々田舎の者なのですが、東京にずっと住んでいると、川があったり山があったりすると凄く癒されます。そういった自然は素劇や楢山節考とつながるものがあります。今回は飛行機で来たのですが、島が見えたり山が見えていたりすると「凄いな」と癒されたりしています。
 水もきれいですし、空気もきれいですし浄化されますね。楽しみです。

鳴門 この世界に入られたきっかけと劇団1980に入ったきっかけを教えて下さい。

水井 私の母がお芝居好きで、短い間ですが演劇鑑賞会に入っていたり、観たりしていました。母は昔からお芝居や芸能界とかそういうものに興味があって、いろいろ連れて行ってもらううちに、私も意識がそちらに向いて表現する人に憧れを抱いていました。高校を卒業して進路を考えた時に、たまたま兄が東京にいたので、今村昌平さんの日本映画学校という専門学校で3年間勉強しました。そこの副校長の藤田傳さんに出会って衝撃を受けて、また、講師の先生が劇団の方で話が面白かったし、授業でお芝居をする時にいろいろお話をするんですが、それが自分に合っていてすんなり受け入れられましたし、それに応えようと思いました。自分が演じる表現はこの劇団1980が合っているのではないかと思い、入らせていただいてそこから始まりました。当時私は21歳で2002年になる年に劇団に入ってそこから今までやらせていただいています。

鳴門 仕事以外で好きなことや興味ある事、休日の過ごし方を教えて下さい。

水井 時間があったら、温泉に行ったり、お風呂やサウナに行ったりするのが好きです。最近水風呂に入れるようになり、疲れが取れることがわかりました。水風呂は足の疲れが取れるのでお薦めします。温泉に入ると疲れが取れるので、長期の時にお休みがあったり、次の日が移動日だったりしたら合間をみて行っています。また、マッサージをしたりして体を休めることをしています。

鳴門 この作品は体力を使いますか。

水井 体力は使いますね。昔はそんなに考えてなかったですが。「おりんをやって、せりふの量と動きが多く、全員そうですが、素劇は体力勝負ですね。箱も動かすし、紐もみなさんやられているのでへとへとになります。

鳴門 体力を回復するために食事面で何かしていますか。

水井 焼き肉を食べたり、ビールを飲んでいます。おいしいお酒を飲むためにいっぱい汗をかいてという感じです。
 コロナになって皆さんも凄く大変だったと思います。私たちは呼ばれていくだけなのですが、こういうお話ができて本当にうれしいですね。

鳴門 鳴門市民劇場に何かメッセージをお願いします。

水井 私たちがいろんなところでお芝居を表現できるのは、市民劇場さんあってのことだと思っていますし、お互い支えあう役割があって共同で一緒に創り上げていくものだと思っています。市民劇場さんがあって私たち俳優がいて、ひとつのものをやるために私たちは稽古をしますし、皆さんは準備をします。共鳴しあえるので本当に頑張っていただきたいと思います。劇団1980は素劇だけではないし、いろいろなお芝居があるので皆さんにこれからも観てもらいたいです。
 皆さんとこうやって会ってざっくばらんにお話ができるのは凄くうれしいです。これからもいろんなことがあると思いますが、お互い頑張ってやっていけたらいいなと思いますし、今日もお客さんに喜んでもらえるようやりたいなと思います。
 おもしろいと思ったら大きな声を出して笑ってもらえて、泣きたいと思ったらいっぱい泣いていただいて、感情表現を出していただけたら嬉しいです。私もそれを感じて今回の旅公演を頑張ってやっていきたいと思います。

インタビューアー

E-mailでのお問い合わせは、         鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。