1956年(昭和31)、 雑誌中央公論発表とともに文壇に衝撃をもたらし、文芸評論 家・正宗白鳥が“人生永遠の書”と評した深沢七郎の小説『楢山節考』。
これまで2度にわたって映画化されたこの原作を“素劇”で舞台化しました。素劇(すげき)は、演出家・ 関矢幸雄が提唱する表現様式。
リアルな装置や修飾的 な衣裳・メイクはいっさいなく、素朴単純ながらも豊かな遊び心で場面を作り出 しながら、観客の想像力を喚起することによって物語の真意 (ドラマ)を表現して いく関矢演出独自の手法です。
山と山が連なって、どこまでも山ばかり。
その山間にある村━━その日、 おりんは待っていた二つの声をきいたのである。
〽楢山祭りが三度来りゃよ 栗の種から花が咲く。
小さく貧しく、食べ物が乏しいという根源的な苦しさの中で、人間はどう生まれ、どう生き、どう死ぬのか?原作 『楢山節考』が問いかけるヒトが生きる意味、生きとし生けるものの命のつながりを、"素劇”ならではの魅力で描き出していきます。
公演ちらしより
映画監督・今村昌平が創立した横浜放送映画専門学院(現:日本映画大学)を母胎 として、演劇科卒業生たちが劇作演出家・藤田傳の元に集まり、文字通り1980年 に発足。
藤田傳がこだわる「日本」と「日本人」を探る演劇作品を創り続け、「老人三部作」「ツイテナイ日本人・三部作」「日本土民考 三部作」等の作品群を発表。93年には藤田の盟友である演出家・関矢幸雄を招き、「素劇 あゝ東京行進曲」を発表。演劇鑑賞会等を通じ、全国各地で公演を行っている。
また、現在ではヨーロッパ三大演劇祭になったルーマニアのシビウ国際演劇祭に、95年日本の劇団として最初に参加し、その後もヨーロッパ公演6度、韓国公演2度、ブラジル南米公演を2度行うなど、日本の劇団としては最も意欲的先駆的に現代日本を照射した作品を海外で発表しながら、芸術交流を図っている。
公演ちらしより
一面の黒と白い線だけの空間に
あの山の全景をみたような気がする
不思議だ
総天然色の画が見える
実に面白かった
高い芸術性に拍手
素劇をはじめて観て、本当におもしろかった
場面が思い浮かばれて
日本の里山の風景を感じた
「楢山節考」は
その世界を素劇ならではの
素朴だが心に響く舞台で伝えきった
民謡の調べが胸を突く
おそろしかった。でも、すごく感動した
貧しかった昔の厳しい現実は
私達後世の人間に多くのことを教えている
殆ど無から有を作る舞台造形の手法は
スピーディーな場面転換に効果大
シンプルな衣裳もまた
役者の演技を却って引き立たせている
楢山節考の辛くて寒々しいイメージが
がらっと変わった
厳しさの中にこそ
人間の暖かさ優しさをより深く感じた
公演ちらしより
水井ちあき | 藤川一歩 | 神原弘之 | 大田怜治 | 清水美帆子 |
おりん | 辰平A・飛脚B | 辰平B・飛脚A | けさ吉 | とよ |
片桐健人 | 山田ひとみ | 柴田義之 | 戸谷昌弘 | 上野裕子 |
かね | すえ | 銭屋の又やん | 銭屋の倅 | 玉やん |
光木麻美 | 木村達也 | 山本隆世 | 後藤まさる | |
松やん | 雨屋 | 照やん | 演奏 |
原作:深沢七郎 構成・演出:関矢幸雄
演出補:花輪充 演出助手:河本瑞貴 舞台監督:上村利幸
美術:山本隆世 音響:齋藤美佐男 照明:増子顕一
音楽:後藤まさる 歌唱指導:平岩佐和子
制作:柴田義之 上野裕子
藍住町総合文化ホール 2023年5月10日(水) 14:30~ 上演時間 約2時間00分(休憩なし) ※約350台の無料駐車場あり(他施設と共用) |
あわぎんホール 5月9日(火) 18:30~ (徳島市民劇場) |